ロシアのプーチン大統領が13日、北方領土の択捉島を訪問し、水産加工工場や病院などを視察した。プーチン氏の北方領土訪問は初めて。日本政府がロシアに再び接近する気配を見せていたタイミングでの訪問で、日本政府内には驚きと反発が広がった。ウクライナによるロシアへの長距離攻撃が続き、プーチン氏に対する世論の支持も低下傾向にあるとされる。複数の専門家は、「北方領土訪問は、プーチン氏の焦りと弱さをさらけ出した」とみる。
ウクライナ紙キーウ・ポストに定期的にコラムを寄稿しているフィンランドの安全保障専門家、ジョニ・アスコラ氏は「プーチンは、どこかで強さを示す必要があった」と語る。「ウクライナでの戦争、ウクライナによるロシア本土への攻撃は、プーチンを弱く見せているからだ」(同氏)という。ウクライナの長距離ドローンによるロシア領域深部への攻撃は、石油精製施設や物流センターなどに大きな被害を与えている。
ロシア軍が最も重視するウクライナ東部・ドンバス地方での戦闘も一進一退の攻防が続いている。ロシアは歩兵の大量投入によって突破口を作ろうとするが、ウクライナ軍のドローンにことごとく進路を阻まれている。北朝鮮兵の追加派遣をめぐる観測も出ており、ロシア国民に強い不評を買う可能性が高い追加動員に手をつけなければいけない段階に近づいている可能性がある。
アスコラ氏は「ロシアがますます中国の代理勢力になりつつあることも忘れてはならない」と語る。同氏によれば、ロシア自身は、中国の代理人やジュニアパートナーではなく、対等に近いパートナーでありたいと考えている。アスコラ氏は「アジアで積極的に動き、日本に圧力をかけることで、プーチンは中国に『ロシアはアジアでも中国の役に立てる』と示すことができる」と語る。
実際、中国外務省は14日、プーチン氏の北方領土訪問について「世界反ファシズム戦争(第2次世界大戦)勝利の成果は適切に尊重、順守されるべきだ」とする報道官談話を発表した。これまでの中立姿勢から一歩踏み込んだ。アスコラ氏は「ロシアは、ウクライナへの全面侵攻以前に比べ、経済、人口、技術、軍事の各面で潜在能力が小さくなっている。弱くなるほど、強さを示そうとする」と語る。そして「中国が自ら手を汚したくないことでも代わりに行うだろう。必要とあれば武力を使うこともいとわない」と懸念を示す。



