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2026.08.25 11:00

国内外の医療の未来を切り拓く──人生100年時代を支える「ロンジェビティ企業」へ

250院を超える医療機関に経営ノウハウを注ぎ込み、医療業界を変えつつあるSBCメディカルグループホールディングス。

2024年のNASDAQ上場を経て、今「ロンジェビティ」を掲げる同社が見据える未来とは。


「日本の医療機関の約7割が赤字」という厚生労働省の調査結果がある※1。日本の医療業界が経営面で難しい局面に立たされていることを意味する数字だ。

「医療と経営を分離すれば、医療機関の経営基盤は立て直せる」と語るのは、SBCメディカルグループホールディングス(以下、SBC) CEOの相川佳之(以下、相川)だ。同社は湘南美容クリニックの経営支援を通じて培った基盤やノウハウを生かし、現在日本・海外含め250院を超える医療機関の経営を支援している。

一般的には美容医療のイメージが強い同社だが、今、グループの総合力を基盤に、医療業界におけるAI技術とロンジェビティの領域で新たな挑戦に乗り出している。そこには創業から医療を変えたいと歩んできた相川の強い思いがあった。

美容医療から、総合医療グループへ

相川が湘南美容クリニックの原点である藤沢院を開院した2000年当時、美容医療はひと握りの人だけが享受できる高額なものだった。相川はそこに問題意識を抱いた。

「当時は両脇の医療脱毛が50万円という価格。美容医療を始めても、価格が高くて続けられない方が多かった。美容院のように気軽にお小遣いで通ってもらえる存在にしていきたいという思いがありました」

念頭にあったのは、松下幸之助の「水道哲学」だった。良質なサービスを水道のように安く豊富に行きわたらせるという志のもと、湘南美容クリニックは拡大を続け、多くの顧客に支持されるまでに成長した。

相川佳之 SBCメディカルグループホールディングス CEO
相川佳之 SBCメディカルグループホールディングス CEO

10年ごろからは眼科、歯科、整形外科、不妊治療と診療科を広げ、総合医療グループへの道を歩み始める。そのきっかけになったのは、アメリカ・ミネソタ州にあるメイヨー・クリニック(Mayo Clinic)の存在だ。高度な専門医療を提供し、患者を中心に各分野の専門医がチームで取り組む。相川は、「日本にも同じような医療グループをつくりたい」と考えた。そして、17年、SBCメディカルグループの前身となる総合医療グループ会社設立に至り、相川はひとつの気づきを得る。

「グループで経営していれば、人員や資材も補いあい、効率化ができる。一方、個人で開院されている医院は、優れた医療技術をもちながらも、経営面で赤字になっているところがあります。また、自由診療を取り入れて規模を拡大する経営手法を知らない医院も多くあります。グループで経営することで、各医院の成長の幅も大きく広がるのではないかと考えました」

グループ化によるメリットだけでなく、美容医療の分野における支援を通じて培った「自由診療」の経営ノウハウも、経営難に陥った保険診療の医院の再建に生かせる。

「医療機関の存続は、医療の雇用と地域医療を守ることにつながります」

こうした相川の発想が、現在SBCが行う、医療機関への経営支援につながっている。

世界を目指すビジョンが、同志を引き寄せる

SBCは2024年のNASDAQ上場を機に、各分野のプロフェッショナルが集結した。三菱UFJ、楽天グループを経験した吉田優也(以下、吉田)と、ゴールドマン・サックス出身の清水美紀(以下、清水)もその一員だ。ふたりがSBC参画の決め手として口にしたのは、相川の掲げるビジョンの壮大さだ。

「2035年に日本を代表する、2050年に世界をリードする総合医療グループになるというビジョンの大きさに惹かれました。より積極的な成長戦略を打つ今こそ、自分が貢献できるのではないかと思いました」(吉田)

「投資銀行でアドバイザーとして16年間携わってきましたが、次は事業会社で自ら意思決定をする仕事に挑戦したいと考えるようになりました。人口減少とGDP成長の鈍化が進む日本において、医療はなお成長余地を残す産業だと感じています」(清水)

AI戦略を担当する吉田は「医療×AIといえばSBCといわれるグループにしていきたい」と語り、社内に「SBC AI Lab」を立ち上げ、所長も兼任。社内のAIリテラシーの底上げから始まり、将来的には、グループ全体で年間約660万人※2の顧客接点から得られる臨床・経営データを活用し、医療経営の高度化や生産性向上を目指していく考えだ。

吉田優也 SBCメディカルグループホールディングス 取締役副社長 兼 CFO兼 COO
吉田優也 SBCメディカルグループホールディングス 取締役副社長 兼 CFO兼 COO

清水が担うのは、美容医療の多様な顧客ニーズに合わせた新しいコンセプトの医院を立ち上げる「マルチブランド戦略」だ。例えば25年に開院した「肌の青空クリニック」は、美容医療にまだハードルを感じる層向けで、保険診療にも対応する。一方、同年に開院した「ネオスキンクリニック」は、美容医療への感度が高い層が対象だ。韓国に代表されるような最新の美容医療メニューを提供する。

清水美紀 SBCメディカルグループ CSO
清水美紀 SBCメディカルグループホールディングス CSO

人生100年時代における医療のあり方

こうした事業の広がりの先に、相川は「ロンジェビティ企業を目指す」と語る。

ロンジェビティとは、食事や運動、医療、テクノロジーを組み合わせて、心身ともに健康で豊かな人生を長く維持するという新たな概念。アメリカでは健康を維持するための医療、フィットネス、食事など個人に合ったプログラムを、ワンストップで受けられるクリニックが広がりつつあるという。

「日本は世界一の長寿国です。人生の最後まで元気に若々しく、老後を楽しむことが、これから最も求められることではないでしょうか。これまで歯科、整形外科、美容、眼科なども手がけ、ロンジェビティにおいて必要とされる診療科がほぼ揃っています」(相川)

清水はアメリカのカンファレンスで得た知見をこう話す。

「人間は社交性の生き物であり、社会に出て人と接することが、長寿と精神的な健康にも欠かせないといわれています。いくつになっても前向きな気持ちで社交的でいられるためのお手伝いが、医療で少しでもできればうれしいですね」

吉田も同じ方向を見据えている。

「最先端の研究では、老化へのアプローチが研究されています。日本は食事や生活習慣など、もともと健康への意識が高い国です。ロンジェビティの分野においても、日本発のモデルを世界に発信できる可能性を秘めています」

SBCが描く次の一手は、27年を目途にした「ロンジェビティ・センター」の開設だ。

「美容・歯科・整形外科・予防医療を一施設で網羅し、予防医療に注力した新しい医療体験を提供する場です」(相川)

「美容医療企業」から「医療の可能性を広げる総合医療グループ」へ。SBCの進化が示すのは、人生100年時代における、新たな医療のあり方なのかもしれない。

※1 厚生労働省 第25回医療経済実態調査(令和7年実施)。
※2 SBCブランド、リゼクリニック、ゴリラクリニック、AHH、JUN CLINIC の数字(無料カウンセリングを除く)。2025年12月時点。

SBCメディカルグループホールディングス
https://sbc-holdings.com/


あいかわ・よしゆき◎SBCメディカルグループホールディングス 代表取締役会長 兼 CEO。日本大学医学部卒業。2014年〜15年に日本美容外科学会(JSAPS)理事長を務める。23年より現職。26年よりSBCメディカルグループ(日本)の代表取締役社長を兼任。

よしだ・ゆうや◎SBCメディカルグループホールディングス 取締役副社長 兼 CFO兼 COO。2003年三菱UFJフィナンシャル・グループ入社。14年にMBA取得。楽天グループを経て、23年SBCメディカルグループ入社。SBC AI Labを設立し、所長兼Chief AI Evangelistとして全社AI戦略を推進。

しみず・みき◎SBCメディカルグループホールディングス CSO。慶應義塾大学卒業後、2008年ゴールドマン・サックス証券に入社。M&A・株式資本調達・IPOなどのアドバイザリー業務に従事。24年にSBCメディカルグループに入社。26年よりアイメッドの代表取締役社長を兼任。

promoted by SBCメディカルグループホールディングス | text by Kana Kubo | photographs by Yuta Fukitsuka | edited by Masako Kihara