アジア

2026.08.17 16:30

高市政権、米国、「債券自警団」──日銀・植田総裁を苦悩させる3つの圧力

日銀の植田和男総裁は難しい金融政策運営が続いている=ゲッティ

日銀の植田和男総裁は難しい金融政策運営が続いている=ゲッティ

日本銀行の植田和男総裁が2026年のために慎重に組み立てていた計画は、目の前で崩れ落ちつつある。

まず、米国の主導でイランとの衝突が起こった。続いて、同じく米国のドナルド・トランプ政権によって新たな関税が導入された。さらに現在、いわゆる「債券自警団」が徘徊し、植田による利上げの余地を狭めている。

2026年の計画で目指されていたことは明快だった。短期金利を1.0%へ引き上げることである。これ自体は6月に実現された。1.0%という政策金利は日本では31年ぶりの高さだ。だがそれ以来、数々の要因が重なり、市場で織り込み済みだった金融引き締め路線は足踏みを余儀なくされている。なかでも大きな存在感を示しているのが、時には自ら行動を起こす「アクティビスト」の債券トレーダーたちだ。

2026年も後半に入るなか、債券市場は植田にとってますます頭の痛い問題になってきている。大きな理由は、高市早苗首相の財政政策だ。まだ流動的な面もあるものの、高市率いる自由民主党政権は景気下支え策の拡大に動いており、それには財政をひどく悪化させかねない減税も含まれる。

こうした政策は、昨年10月の就任以来、高市が最優先に位置づけてきた課題だ。故・安倍晋三元首相を政治の師と仰ぐ高市は、供給サイドの改革よりも財政出動と金融緩和を好む。だが、このアプローチは債券市場と衝突する危険をはらんでいる。

しかも、この動向は世界的な懸念事項になりつつある。日本は先進国で最も重い債務負担を抱えており、ワシントンからも厳しい視線が注がれている。スコット・ベッセント米財務長官は、日銀に対して金融引き締めを強く迫っている。

過去2週間、ベッセントのチームは1998年以降みられなかったほどの強さで日銀にプレッシャーをかけ、さらに円相場を押し上げるために日本政府と協調介入にも踏み切り、これらは大きく報じられた。

バンク・オブ・アメリカ(BofA)のストラテジスト、山田修輔は7月30日に実施された為替介入について「円を支えるという当局の強い決意の表れ」だと指摘する。さらに、今回の円買いが日米の協調で行われたことは、事前に入念な通貨外交が行われていたことを示唆するとも述べている。

もっとも、ベッセント側からの働きかけは日本の利益のためというよりも、ドル安を望む米国の思惑による部分が大きい。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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