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2026.08.17 11:59

AI人材の育成は、教育福利厚生の見直しから始まる

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米国企業社会には、静かな矛盾が走っている。企業は、人工知能(AI)がほぼすべての仕事を作り替えるなか、適切なスキルを持つ人材が見つからないと訴える。その一方で、同じ企業の多くが多額の教育予算を抱えながら、ほとんど活用していない。

ジョージタウン大学教育・労働力センターによると、米国企業は正式な研修に年間およそ1770億ドル(約28兆1000億円)を費やしており、そのうち約280億ドル(約4兆4500億円)が学費補助に充てられている。だが、Bright HorizonsのEdAssist調査によれば、対象従業員の利用率は通常1.5〜10%にとどまる。資金は配分されている。ただ、動いていないだけだ。

単位の移行可能性に長年取り組んできた経験から、私は問題の本質は、雇用主が出し惜しみしていることでも、従業員に関心がないことでもなく、制度設計にあると考えるようになった。学費支援制度は、別の時代のために作られたものなのだ。

旧来のモデルは、もはや存在しない世界を前提にしている

従来のプログラムは、従業員に対して「学位取得を確約すること」「費用を前払いすること」「数カ月後に払い戻しを待つこと(それも合格した場合のみ)」という、3つの困難なハードルを同時に要求する。家賃を払い、家族を養う社会人にとって、これは福利厚生というよりローンに近い。最も支援を必要としない人々ばかりが恩恵を受ける仕組みになっている。

一方で、市場は変化している。約10億件の求人情報を分析したPwCの報告書「The Fearless Future: 2025 Global AI Jobs Barometer(恐れなき未来:2025年グローバルAIジョブバロメーター)」によると、AIスキルを持つ労働者は、同様のスキルを持つ他の労働者に比べて56%の賃金プレミアムを得ており、これは前年の2倍以上に達している。また、AIの影響を受ける職務において、学位の要件を求める割合は同期間に7ポイント低下した。雇用主はもはや、学位の有無だけを問うているのではない。実際に仕事ができるか、そしてこれらのツールを使って遂行できるかどうかも求めているのだ。

資格は、その人が学び、一定の基準を満たせることを示す。AIリテラシーは、それを現在の経済が求める速度で応用できることを示す。雇用主が資金を投じるうえで最も有用なのは、その両方を育てる道筋である。

人材育成の方法は1つではない

すべての組織に適合する単一のモデルは存在しない。検討に値する4つのアプローチを紹介する。多くの企業にとって、これらを組み合わせるのが最も効果的だろう。

払い戻しではなく、前払いにする

これは最もコストのかからない解決策である。なぜなら、資金繰りの障壁こそが、最も恩恵を受けるべき従業員の参加を阻んでいるからだ。アマゾンの「キャリア選択(Career Choice)」プログラムは、授業料の大部分を前払いしている。ウォルマートスターバックスは、従業員に自己負担させて待たせるのではなく、学校との直接的な提携を通じて教育資金を提供している。

既存の社内研修を大学の単位に変換する

この方法は見落とされがちだ。1918年に設立されたACE(アメリカ教育評議会)や、ニューヨーク州立大学理事会のプログラムであるNCCRS(全米大学単位認定推奨サービス)は、企業のトレーニングプログラムを評価し、大学の単位として推奨している。すでに社内でのリスキリングに費用を投じている企業は、その学習内容を評価してもらうことで、新たなコストをかけることなく、従業員に学位に換算できる価値を提供できる。

移行可能な単位に資金を提供する

CLEPやDSSTといった試験に加え、ACEやNCCRSが推奨するコースは、従来の授業料のわずか数分の一の費用で済む。一部の地区認定大学は、これらの単位をまとまった形で受け入れている。従業員はこの方法で学位の大部分をカバーし、最後の仕上げの部分だけ通常の授業料を支払うことができる。米内国歳入庁(IRS)は、従業員1人あたり年間最大5250ドル(約83万円)までを非課税として認めており、これは単位の取得費用とAIツールの使用料を十分に賄える金額だ。

「4年制大学の学位」をデフォルトにするのをやめる

多くの職務において、修了証(サーティフィケート)や特定のテーマに絞った一連の講座(スタッカブルなコース)の方が、実際のビジネスニーズに迅速に対応でき、従業員もわずか数カ月で成果を示すことができる。

資金提供だけでは問題は解決しない

万能な解決策は存在しないため、限界についても率直に述べておきたい。単位の推奨は、必ずしもその単位が認められることを保証するものではない。ACEも明記しているように、どの単位を受け入れるかは各大学が決定するため、受講前に学校ごとに移行性を確認する必要がある。そして、より困難な課題は「修了」であり、多くのプログラムがここで静かに挫折している。

社会人が学習を断念する主な理由は、学費ではなく、時間の不足である。全米学生クリアリングハウス(National Student Clearinghouse)の調査によると、学習を修了する可能性が最も高いのは、最近休学したばかりで、すでに1〜2年分の単位を貯めている社会人である。この事実は、支援の対象を絞る上で重要だ。これらのプログラムは、ゴールが近い従業員に対して最も早く成果をもたらすが、ゼロからスタートする従業員に対しては、はるかに多くの忍耐を必要とする。

また、資金援助は最初の要素にすぎない。アドバイス、マネージャーによるサポート、学習時間の確保、そして資格の取得と実際の昇進との明確な結びつきがあってこそ、人々は最後までやり遂げることができる。そうした支援体制(スキャフォールディング)がなければ、どれほど潤沢な予算があっても、生まれるのは卒業生ではなく中退者ばかりになってしまう。適切に構築されたプログラムが提供するのは、修了の約束ではない。人々が諦める原因となるような、予想外の出費や単位認定の却下といったリスクを減らし、より迅速で予測可能性の高い道筋を提供することだ。

この機会は、一企業の枠を超えた広がりを持つ

前述の全米学生クリアリングハウスの調査では、大学の単位を取得したものの卒業に至っていない就労世代の成人は、約3760万人に上ると推定されている。その多くは、あとわずかな移行可能単位を取得すれば資格や学位を得られる状態にある。大学が単独で行うのとは異なり、雇用主は資金、動機付け、そしてその先にある昇進の機会を握っているため、このギャップを埋めることができる。

解決策は予算を増やすことではない。より戦略的なアプローチを取ることだ。費用を前払いし、社内で既に行われている学習を単位としてカウントし、移行可能な単位を活用し、そのすべてを修了支援のコーチングで支えることである。これに成功した企業は、単に欠員を補充するだけでなく、すでに支出している資金を活用して、次の10年で真に価値を認められる人材を育成することができるだろう。

forbes.com 原文

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