プロジェクトではありませんでした。私たちはただ、貝殻を集めていたのです。そのうち私は、「この模様はどうやってつくられているのだろう?」と考え始めました。それから、数理生物学的に調べ始め、最終的に、その模様を再現できるコードを生成しました。コードを実行するたびに、貝殻のような、独特の模様をつくり出してくれます。
そのとき私たちは、「私たちはデジタルアーティストではない。デジタル形式のままにしておきたくない」と思いました。それで、模様編みができる編み機をつくることにしたのです。それが、「A Thousand Layers of Stomach」というプロジェクトになりました。ウズベキスタンがヴェネチア・ビエンナーレの国別パビリオンでの展示に招いてくれました。
かつてアラル海に生息していたゼブラガイが生態系の崩壊によって絶滅した(ようになった)ことを知りました。そこで、その貝の模様をもとに、ビエンナーレに出展する作品を制作することにしました。私たちのコードによって制作した、10 x 5メートルの巨大なタペストリーです。本当に、ただ私たちの好奇心によって生まれてきたものです。
──9月に開幕する韓国での初の個展、「New Nature」ではどのようなものを展示されますか? 制作活動の新たな章の始まりになるのでしょうか?
村上:「New Spring」という作品を出品します。もやで満たされたバブルを生み出す木のようなスカルプチャーです。そしてもうひとつ、M+香港とコペンハーゲン・コンテンポラリーに展示している「Beyond the Horizon」という作品を出品します。
さらに、新作の「Mud Plotter」を公開します。ヴェネチアで披露した作品を進化させたものですが、編み機を使用するのではなく、油と泥を混ぜて絵具を作り、初めて貝殻の模様のアルゴリズムを使用して、直接キャンバスに描いた絵画です。
グローブス:まったく新しい作品です。これまで「儚いテクノロジー」のインスタレーションを手がけていた私たちが物理的な作品を制作し始めたのですから、興味深い変化です。まだ名前はありませんが、命と、命が複雑な模様を生み出し続けることへの強い関心を示す、新たな作品群になると捉えています。絵画やテキスタイルなど、物理的なものを実際に残すのですから、私たちの制作における、これまでにない変化です。そうした動力学的なプロセスの、自然な産物でもあります。


