職場で自分がどのような実績で知られるようになっているか、細心の注意を払うこと。これまでにどのようなシステムを構築したか。どのような知的財産を開発したか。どのような測定可能な成果を生み出し、どのような研究を主導、あるいは貢献したか。これらは、キャリアのどこへ行っても持ち運べる膨大な資本となり、より高い給与を提示する企業への転職、スタートアップへの参画、あるいは自らスタートアップを立ち上げるなど、どのような道を選んでも、あなたがもたらす価値をさらに高めてくれる。
第三に、最も重要度の高い課題の近くに身を置く。今日の組織が直面している、最もコストがかかり、困難な課題を特定すること。その問題の複雑さと、なぜそれが重要なのかを深く理解する。そして、その課題に対する専門知識やソリューションを開発し始めることだ。課題とそこに関わる人々への理解が深まれば深まるほど、一般的な専門家とは一線を画す存在となり、交渉力はより強固なものになる。
最後に、勤務先以外の場所で強力な評価を築き、発展させる。業界に有意義な貢献をしている人物として知られるようになること。自らの考えやソートリーダーシップ(先見的な知見)を発信しよう。組織外の潜在的な投資家や他の創業者、業界のリーダーたちと強固な関係を築き、発信した専門知識やソートリーダーシップを「経済的な堀(モート)」として活用する。これにより、自身の知見、構築したソリューション、そして自分が保有する価値を証明する材料とするのだ。
そして、もう1つある。
AIスタートアップにおける人材の流出と再配置は、テクノロジー業界が抱えるより大きな問題を物語っており、それはAIブームによってさらに悪化している。すなわち、適切なスキルを持つ技術人材の不足は常に存在してきた。しかし、一般的な技術人材の供給量と比較しても、AIの専門家、研究者、機械学習のエキスパート、そして「創業マインド(起業家精神)」を持ったエンジニアの不足は際立っている。
もしあなたがこれらの分野を学んでいるか、あるいはその分野を目指している、もしくはすでにその中で働いているなら、この「希少性」はキャリアにおける最大の強みの一つになり得る。
とはいえ、希少性だけではレバレッジは生まれない。いま重要なのは、それを使って何をするかである。
他で代替したり見つけたりすることが困難な方法で、知識を深め、スキルを積み重ねていくこと。目先の仕事や雇用主の枠を超えて広がる人間関係や評判を築くこと。そして可能な限り、自分の仕事の価値をより多く「所有(主導)」する機会を模索することだ。
AI経済において、あなたの知識は、築き、活用し、やがて所有できる資産である。


