政治

2026.08.17 08:00

ロシアとウクライナ、イランと米国 エネルギー施設を標的とする2つの紛争

ロシアの首都モスクワで、ウクライナ軍の無人機攻撃を受けて火災が発生した製油所。2026年6月18日撮影(Sefa Karacan/Anadolu via Getty Images)

ロシアの首都モスクワで、ウクライナ軍の無人機攻撃を受けて火災が発生した製油所。2026年6月18日撮影(Sefa Karacan/Anadolu via Getty Images)

ウクライナ軍の無人機(ドローン)が1日、国境から約1600キロ離れたロシアのバシコルトスタン共和国ウファ近郊にある3カ所の石油精製所を攻撃した。その翌日、ロシア国営石油企業ロスネフチのサラトフ製油所が攻撃を受けた。同製油所は2024年、580万トンの原油を精製していた。ウクライナ軍は今夏、ロシアのエネルギー施設を集中的に攻撃している。一方、ロシア大統領府(クレムリン)は「交渉再開の見通しは当面ない」とし、ウクライナからの停戦要求を拒みつつも、ロシアは原則として交渉には応じる姿勢を維持していると述べている。

この状況は、米国が対応してきたもう1つの戦線、すなわちイラン情勢と複雑に絡み合っている。4月に米国とイランが2週間の停戦を発表すると、クレムリンは、米政府がロシアとウクライナを交えた三者協議を再開することを期待すると述べた。クレムリンは以前、三者協議の中断は、米国がイラン問題に手いっぱいになっていることが原因だと非難していた。

米国のドナルド・トランプ大統領は6日、ホルムズ海峡を巡る協議はまとまりかけており、イランとの戦闘は「これ以上長くは続かない」と述べた。ところがその数日後、双方の溝は深まり、イランはホルムズ海峡再開の条件として、米国に一連の強硬な要求を突きつけた。だが、米国がこれらの要求を受け入れる可能性は極めて低い。

これら2つの紛争で、エネルギー施設への攻撃は異なる目的を果たしており、この相違から平和的解決の見通しが見えてくる。

異なる戦略

ウクライナ軍によるロシアのエネルギー資産に対する攻撃は1年以上前から続いており、次第に激化している。一方、イランと米国の紛争は、覚書、停戦、決裂の繰り返しが特徴となっている。両国は6月17日に暫定合意を結び、イランは制裁緩和と引き換えに濃縮ウラン備蓄の希釈に同意したが、同国の革命防衛隊がホルムズ海峡で船舶を攻撃したとの報道を受け、トランプ大統領は7月8日、停戦を終了すると宣言した。これに続いて米軍は140カ所以上のイランの標的を空爆した。最近ではホルムズ海峡を通る航路に関する新たな交渉が行われているが、イランが再び同海峡の支配権や賠償金の支払い、周辺地域からの米軍の撤退のほか、ハマスやヒズボラといった過激派勢力の武装解除なしにイスラエルがガザとレバノンから撤退することを要求しているため、進展は見られない。

ロシアへの攻勢を強めるウクライナ軍

年初にロシアとの停戦交渉が決裂して以来、ウクライナ軍は攻勢を強めている。ウクライナ無人機部隊のロベルト・ブロウジ司令官は、ロシア国内への攻撃は年初以来1150%増加し、現在では国境から2000キロ離れた場所まで射程圏内になっていると述べた。攻撃の記録からは、ロシアの製油所が狙われていることが明らかになっており、サラトフ、リャザニ、ペルミ、チュメニ、ヤロスラブリ、サラバト、アフィプスキー、シズラニ、イリスキー、オムスク、ウファ、モスクワなどの製油所が標的になった。中には、修復完了間際になって再度攻撃を受けた施設もある。ウクライナ当局によると、この作戦でロシアの製油所の約4割が機能不全に陥り、同国は国内83地域のうち60地域で燃料の供給を制限する措置を講じている。

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翻訳・編集=安藤清香

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