過去2年ほどの間に、米国を代表する500社で構成するS&P500種株価指数は、分散された投資対象であることを静かにやめ、集中した投資対象へ変わった。指数に組み入れられた企業のうち、時価総額が大きい上位7社だけで、指数全体の時価総額に対して30%超を占めている。ここまで上位数社へ偏った状態は、戦後の米国株市場に実質的な前例がない。何を数え、いつ測るかによっては、テクノロジー分野に属する企業を合計するだけで、指数のおよそ3分の1に達する。
ここで立ち止まる価値がある。S&P500に連動するファンドを買った人の大半は、自分は堅実で退屈な選択をしていると信じているからだ。幅広い指数へ投資するほうが、個別銘柄を選ぶより成績はよい。圧倒的多数の投資家にとってこの助言は正しく、投資家もそのとおりに教えられてきた。そしてファンドを買い、買った後は考えるのをやめた。だが投資家が気づいていない変化がある。買ったはずの商品は、保有者の足元で中身を入れ替えており、その入れ替えが目論見書の更新によって告知されたことは1度もない。
時価総額加重の指数は、値上がりした銘柄を減らさない
時価総額加重の指数は、各銘柄の組み入れ比率を企業の時価総額に応じて決め、値上がりして規模が大きくなった企業の比率を意図的に引き下げることはしない。この仕組みこそが設計そのものであり、指数投資が機能してきた理由でもある。勝ち続ける企業はこれからも勝ち続けるはずであり、成長するにつれてその企業を多く持つという機械的な規則が、勝者の成長を指数の成績として取り込む。この設計は80年にわたり絶大な成功を収めてきた。だが同じ規則があるために、ごく限られた企業群が10年にわたって並外れた運用成績を生めば、指数は次第に、その企業群そのものへ賭けるポートフォリオへ変わる。指数の危険が増したのは、誰かが判断を誤ったからではない。設計どおりにうまく機能したからこそ、危険が増した。
議論を重ねるより、数字を並べたほうが事情はよく伝わる。株式資産の30%を上位7社が占めている場合、その7社の株価が25%下がるだけで、残る493社の株価がまったく動かなくても、株式資産全体は7.5%目減りする。実際の下落はこれより大きくなる。7社は互いに値動きが連動し、テクノロジー分野全体とも連動し、各社の利益はますます同じ設備投資の循環に結び付いているからだ。500社へ投資しているのだから分散できているという理解は、銘柄数の上での分散にすぎない。値動きの実態としては、分散になっていない。



