米国では、最年少の自力ビリオネアの称号が、この1年だけでも何度も入れ替わった。現在、世界最年少の自力ビリオネアは米国人のスーリヤ・ミダだ。同氏が共同創業したAI採用スタートアップMercorは10月、100億ドル(約1兆5900億円)の評価額で資金を調達し、当時22歳だったミダの純資産は推定22億ドル(約3500億円)に押し上げられた。ミダは、それぞれ約2カ月年下の共同創業者ブレンダン・フーディとアダーシュ・ヒレマスをわずかに上回っている(3人はいま、いずれも23歳である)。ミダは、Polymarketのシェイン・コプラン(28)からこの称号を引き継いだ。コプランはその数週間前、Scale AIのアレクサンダー・ワン(29)から同称号を引き継いでいた。
ダコムの大きな賭けは、エヌビディアの強力なAIチップをあらゆる用途に使うのは合理的ではない、という考えにある。同氏の計画は、1種類のチップだけを使うのではなく、AIモデルの推論段階(モデルが出力を導き出す段階)のさまざまな部分に特化したチップを開発することだ。
同社のチップはフォトニック方式でもある。つまり、データは電気信号ではなく光としてチップ間を移動し、遅延と消費電力の削減に役立つ。また、現在供給不足にある高価な広帯域メモリーハードウェアを意図的に避けている。Olixは、同社のプレスリリースによれば、2027年後半までにこれらを顧客の手元に届ける計画だ。
競合は増えつつある。シリコンバレーを拠点とするd-Matrixはマイクロソフトの支援を受け、すでにCorsairチップを販売している。一方、MatX、Etched、ロンドンのFractileといったスタートアップもこの1年で大型の資金調達を実施した。
エヌビディアもこの分野に乗り出している。12月、同チップ大手は、グーグルのTPU AIチップの初期案件に携わったジョナサン・ロスが創業したチップメーカーGroqと、200億ドル(約3兆1800億円)のライセンス契約を結んだ。ダコムは、Olix創業前にチップ業界で働いた経験はないものの、CoMindでのフォトニクスの経験が、自身の新スタートアップにGroqや他のチップ大手に対する優位性をもたらし得ると考えているようだ。こうしたアイデアすべてに資金を投じるだけの資金は十分にあるが、大きな果実を手にするのは、技術で勝利した者である。
ダコムは最近、フィナンシャル・タイムズにこう語っている。
「今日、非常に大規模で強力なLLM(大規模言語モデル)を高速かつ低コストで多数のユーザー向けに稼働させられることに、これほど大きな経済的見返りがある状況では、機能を分解し、その用途に適したカスタムシリコンを持つことは大いに報われる」


