キャリア

2026.08.16 17:11

「未経験歓迎」求人が4年で73%減少 大卒新人が直面する構造的ジレンマ

stock.adobe.com

stock.adobe.com

大学の新卒者は厳しい雇用市場に直面しており、彼らが遭遇している新たなハードルのひとつは、事前の実務経験を必要としない「未経験者向け求人」を企業が大幅に減らしていることだ。これが、新卒者(22〜27歳)の失業率5.6%という数字につながっている要因のひとつと考えられ、これは労働者全体の失業率4.2%を上回っている。

AIを活用した採用プラットフォームのCadientがまとめた最新データによると、医療、行政、インフラ(電気・ガスなど)、交通といった幅広い分野の企業において、実務経験のない人材の採用を敬遠する動きが強まっている。2022年から2026年にかけて特定の企業グループが提示した7984件の給与制求人を分析した結果、未経験者に対する扉は急速に閉ざされつつあることが示された。そしてこの問題は、IT分野に限った話ではない。AIの影響がまだそれほど及んでいないと考えられていた日常生活を支える一般産業(エブリデーエコノミー)セクターでも、同様の現象が起きているのだ。

  • 実務経験不問の給与制求人の割合は、この4年間で73%減少した。2022年には15件に1件の割合で未経験者を歓迎する求人があったが、現在ではわずか50件に1件にまで落ち込んでいる。
  • これらの企業が掲載した給与制求人の総数は27%減少した。1件の求人に対する応募者数は2022年比で3倍以上に膨れ上がっており、この競争の激化は、経験豊富な求職者とエントリーレベル(新卒・未経験)の求職者の双方に起きている。
  • 一方で、シニアレベルの経験を求める職種の割合は2倍に増加した。雇用側は「新人」ではなく、ますます「即戦力となるベテラン」を求めるようになっている。

では、この状況は大学の新卒者にとって何を意味するのだろうか。彼らは、解決策のないジレンマに直面している。企業が経験のない求職者の採用をやめてしまえば、求職者が経験を積む機会そのものが奪われてしまうからだ。

CadientのCEOであるビル・マスティンに、このデータが大学新卒者に与える影響について尋ねた。マスティンはメールでの回答で、求人における学位要件が変化していると指摘した。通常、2年制または4年制大学の学位を必要とする職種は全体の雇用の約27%を占めるが、学位は不要とする一方で関連する実務経験を求める企業の数が増えているという。

では、大学在学中のインターンシップは実務経験の要件を満たし、新卒者が採用への一歩を踏み出す手助けになるのだろうか。その答えは、イエスでもありノーでもある。マスティンによれば、インターンシップを十分な経験と見なすかどうかは企業ごとの判断による。しかし、より大きな問題は、現在の一般的な採用プロセスの仕組みにあるという。多くの組織では、キーワードやスキル、学歴、経験年数などによって候補者を絞り込む「採用管理システム(ATS)」というデジタルツールを導入している。その結果、採用担当者が履歴書を詳しく見る前に、ソフトウェアによって一部の候補者が自動的にふるい落とされてしまうのだ。

この調査結果は、大学側にとっても厄介な事態を意味している。こうした採用のジレンマが起きている一方で、米政府は大学に対し、学生の将来的な稼ぐ力に関する責任を厳しく問う方針を強めている。米教育省の新たな学費・透明性システム(STATS)と「収益説明責任」に関する規則の下では、学部課程は卒業生の収入が一般的な高卒者の収入を上回っていることを証明しなければならず、大学院課程は卒業生の収入が一般的な大卒者の収入を上回っていることを証明することが求められる。

3年のうち連続する2年において、卒業生に対する最低限必要な投資収益率(ROI)を示せなかったプログラムは、2028年までに連邦直接ローンプログラムへの参加資格を失う。また、卒業生の所得プレミアム(追加的利益)基準を3年連続で満たせなかった場合、当局はその教育機関の低所得プログラムに対する奨学金(ペル・グラントなど)の対象資格を打ち切る可能性がある。

つまり、未曾有の嵐(パーフェクト・ストーム)に直面しているのは学生だけではない。大学側にもその嵐が迫っているのだ。未経験での採用が極めて困難になっているまさにその時期に、大学は自らのプログラムが卒業生を十分な報酬の得られる雇用へと導いていることを証明しなければならない。

マスティンが指摘するように、「本当の問題は、未経験者向けの求人が消えつつあることではない。雇用側が、経験を積む機会を与える前に、求職者に対してすでに経験を備えていることをますます求めるようになっていることだ。採用システムがインターンシップや初期のキャリア経験を排除してしまうと、多くの優秀な候補者が採用担当者の目に留まることすらなくなってしまう。これは構造的な問題であり、人材の能力の問題ではない」のだ。

forbes.com 原文

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事