起業家

2026.08.16 16:47

スタートアップが生き残るための秘訣とは? 資金ではなく「ビジョン」だ

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昨年の秋、私はAIスタートアップであるInfactory(インファクトリー)のディナーに参加し、創業者のブルック・ハートリーに出会った。最初の会話から、彼女にはメディア業界がAIを活用できるように支援するというビジョンがあるように見えた。また、彼女はLinkedInに、息子のためにレガシー(遺産)を築いているという趣旨の投稿をしていた。私はそのビジョンに深く感銘を受け、ハートリーにアプローチし、一緒に働きたいと申し出、最終的に戦略アドバイザーとしてInfactoryに加わることになった。

数カ月後、ある友人から別のAIスタートアップのアドバイザーになってほしいと頼まれた。その友人もまた、非常に強いビジョンに突き動かされている人物だったため、私は「君のためなら何でもするよ」と答えた。しかしその後、彼女が仕えている創業者に会ったとき、私はビジョンのない人物の下では働けないとすぐに察した。私はその企業からの依頼を断った。その創業者には、金を稼ぐこと以外に、明確な長期計画があるようにはどうしても見えなかったからだ。

小規模なAI企業の淘汰が早くも始まっている。現在、いかに安価に起業できるようになっているかにかかわらず、どのAIスタートアップが生き残り、どれが脱落するかがすでに明らかになりつつある。ハートリーは最近Coval(コバル)に移籍したが、私は今でも彼女のビジョンと決意を信じている。Forbesでの執筆活動やアドバイザーとしての経験から見ても、Anthropic(アンソロピック)のような巨大AI企業と競合するためには、アイデアに対する並外れたコミットメントがなければ事業を継続できないように思える。

これは、エイミー・ビューヒラーが2015年から2019年にかけてY Combinator(Yコンビネーター)のインハウス・セラピストとして活動し、約800人の初期段階の創業者をコーチングするなかで目にしてきたことでもある。過去6年間にわたりScale Yourselfという個人事務所を運営し、約1000人の創業者をコーチングしてきた彼女は、同じ結論に達している。強いビジョンに突き動かされている創業者には、どんな創業者も到底太刀打ちできないということだ。

「創業者が自身のビジョンと結びついているとき、その人物を出し抜くことも、彼らより長く生き残ることも決してできない」とビューヒラーは言う。「なぜなら彼らは、世界にとって何が最善であるかという独自の感覚、その途方もない可能性と純粋なポテンシャルによって、完全に突き動かされているからだ」

ビジョンの必然性

ビューヒラーによると、ビジョンを持つ創業者は、自らが行っていることをある種「必然」であると捉えている。彼らのビジョンは実現されなければならないのだ。彼女がこれまで担当してきたクライアントには、国籍に関係なく人々のためのグローバルなセーフティネットを構築したいと願う人、アフリカ大陸に電力を普及させたい人、世界中のすべての人々の接続性を向上させたいと願う人などがいた。彼らの目的を阻むものは何もない。

「ビジョンとは、私たちの心理が可能性を認識する方法であり、ビジョンを持っているとき、私たちはそれが必然であることを感知し、確信する。それが私たちの認識だ。これは必ず起こる。これこそが、自分が世界のためにできると想像し得る唯一の素晴らしいことなのだと。それは必然であり、私たちはそれを知っている」とビューヒラーは語る。「金を稼ぐことに突き動かされている創業者には、短期的な目標がある。しかし、その目標は不確実だ。ビジョンを達成することのような必然性はない」

ビューヒラーは、金を稼ぐことが計画の一部であることは多いものの、それだけでは通常、ビジネスを推進する原動力としては不十分だと強調する。

「金を稼ぐことはビジョンではない。彼らの多くは金を稼ぐだろうし、それはそれで良いことだ」とビューヒラーは言う。「しかし、もし彼らがビジョンに突き動かされている創業者と競争することになれば、後者の方がより多くの利益を上げるだろう。より大きなインパクトを与え、長期的に存続する企業や製品を築き上げるはずだ」

彼女は、金だけに集中する創業者の方が燃え尽き症候群に陥りやすいことを見出している。

「彼らは目的意識に突き動かされていないため、通常は疲弊し、虚無感を抱えたままエグジットすることになる」と彼女は語る。

健全な選択

このビジョンという感覚は、糖尿病患者の低血糖をサポートするグミを製造するGloGlo(グログロ)の共同創業者、マリー・シュニーガンスに会った際にも、すぐに感じられた。彼女と共同創業者のマイケル・フェスターには、すでにAIスタートアップを立ち上げて成功させた経験がある。しかし、糖尿病患者を救いたいという彼らのビジョンは、彼らにとってそれ以上に重要なものに思えた。3月に事業を立ち上げて以来、彼らは300万ドル(約4億7700万円)を調達している。

「自分がすることに深く関心を持つほど、より大きなインパクトを与えることができる」とシュニーガンスは語る。「それは非常に重要だった。毎日目を覚まし、自分たちが大切に思っていることに取り組むこと。糖尿病コミュニティの人々が毎日をより快適に過ごせるよう、私たちはどのように貢献できるだろうか?」

人生の目標

ビジョンを持つ創業者を見つけるのは容易だ。6月に開催されたNYCテック・ウィークでパネルディスカッションのモデレーターを務めていた際、私は女性向けウェルネスアプリLoune(ルーン)の創業者であるマニサ・モントゥールに出会った。パネルディスカッションの後に登壇したモントゥールの情熱は、周囲に伝播するものだった。私は彼女に自己紹介をし、彼女のストーリーをもっと聞かせてほしいと頼まないことには、その場を立ち去ることができなかった。

モントゥールが以前手掛けたデジタルフィットネスのスタートアップ、NissaFit(ニサフィット)は、8年間で120万ドル(約1億9100万円)の売上を記録した。2025年11月、彼女は、多くの企業が見落としている顧客層、すなわち有色人種の女性や、食事の問題に悩む女性、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)を抱える女性たちをサポートするための新しいAIスタートアップの構築に着手した。彼女は年末までに、これらすべての課題を解決するアプリを構築中だ。期限が刻々と迫るなか、モントゥールは精力的に作業を続けている。

「創業者や起業家であることは非常に困難であり、諦めたくなることもある」と彼女は言う。「それが金以上の意味を持つものであるとき、屈することははるかに難しくなる」

しかし、私たちが言葉を交わした際、彼女のビジョンが彼女をそこへ到達させるであろうことは極めて明白だった。

「私は命を救いたい」とモントゥールは語った。「女性たちが長く充実した人生を送る姿を見たい。それは金よりもはるかに大きなものだ。幸せになるために10億ドル(約1590億円)は必要ない。私のレガシーは、人々に奉仕し、女性を助けることだ。そのために私はここにいる。それを実行している限り、私は充実した人生を送っているのだ」

forbes.com 原文

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