ドナルド・トランプ大統領は米国時間8月14日、ホルムズ海峡が米国領になると主張した。これに対してイランは反発し、トランプが「空想じみた妄想」に浸っていると非難した上で、海峡はこれからもイランが押さえ続けると宣言した。
トランプ演説に外務次官が反論、ホルムズ海峡はイラン領と主張
イランのカゼム・ガリブアバディ外務次官は8月14日、トランプに向けて「今度こそはっきりと現実を受け入れよ。これまであなたは戦略的で重い敗北を喫してきた」とXに投稿した。その上で「ホルムズ海峡はこれまでもイランに属し、今もイランに属し、これからもイランに属し続ける」と記し、トランプが「空想じみた妄想」を抱いていると切り捨てた。
ガリブアバディが反応したのは、トランプが8月14日にニューヨーク州で開いた集会で放った一節だ。トランプはそこで「イランを打ち負かし終えたら……まもなくホルムズ海峡を米国領だと宣言することになる」と語っていた。
外務省報道官はドストエフスキーを引用、トランプ発言を批判
イラン外務省で報道官を務めるエスマイル・バガイも8月15日、フョードル・ドストエフスキーが書いた小説「カラマーゾフの兄弟」から一節を引用して、トランプ発言を暗に非難した。その内容は「自分に嘘をつき、その嘘に聞き入る者は、やがて自分自身の内にも周りにも真実を見分けられなくなり、自分に対しても他人に対しても一切の敬意を失う」という箇所だった。
終戦交渉は海峡支配で難航、UAEは石油輸送船への攻撃を公表
どちらがホルムズ海峡を支配しているのかという対立は、紛争を終わらせるために続く米国とイランによる交渉で、最大級の障害になっている。双方とも自分たちが海峡を押さえていると主張し、イランは主要な石油輸送路であるこの海域で船舶への攻撃を続け、米国はイランに出入りする船舶を阻み続けている。
アラブ首長国連邦(UAE)は8月15日、ホルムズ海峡を通航していた国営石油会社の船舶がイランに攻撃されたと明らかにした。
ガソリンは1ガロン約649円、トランプは値上がり容認を訴え
トランプは米国時間8月14日の演説で、イランとの紛争が招いたガソリン高を受け入れるよう国民に求めた。聴衆に向けては、「ガソリン代をほんの少し多く」払うことは、「きわめて邪悪な国家」に核兵器を握らせないために見合う代償だと訴えた。
この発言が飛び出した8月14日、全米自動車協会(AAA)がまとめたガソリン平均価格は1ガロン当たり4.08ドル(約649円)と、1年前より29%高い水準にあった。
終結が近いと語りつつ攻撃、財務長官は追加制裁を予告
イランに向けて8月14日に語気を強めた振る舞いは、トランプが繰り返してきた型どおりの動きでもある。紛争は終わりに近づいたと宣言しては、さらなる攻撃をちらつかせ、あるいは実際に踏み切ってきた。スコット・ベッセント財務長官は8月13日、ニュースマックスに対し、イランへの経済的な制裁措置を近く積み増すと語っている。
空母リンカーンは寄港せず200日超、家族が食料不足を訴え
米国が紛争へ資源を注ぎ込み続けているもう1つの表れが、中東に長く張りついている原子力空母エイブラハム・リンカーンだ。この空母は2025年11月に母港のサンディエゴを出港して以来、1度も寄港しないまま200日を超えて海上にとどまっている。
乗組員の家族や議員からは、艦内で兵員の精神状態が悪化していること、危険な状況に置かれていること、食料や生活必需品、衛生設備が足りていないことへの懸念が上がってきた。トランプと軍幹部は、そうした実態を否定している。
トランプは8月14日、この派遣は「まるで足りていない」と述べ、家族が抱く懸念そのものを否定した。艦内の実情や改善に向けた取り組みについて政権に回答を迫ってきた民主党議員の一部は、この発言に強く反発した。
交代する空母としてジョージ・ワシントンが中東へ向かっていると伝えられるが、リンカーンに乗る兵員がいつ帰国できるのかは、はっきりしていない。



