DeepSeek、約1.27兆円の調達を再開し自社チップ開発も着手
最先端は高くつく。価格表が語るこの結論を、DeepSeekの支出が裏づけている。同社は6月、初の外部資金調達を約74億ドル(約1兆1766億円)で完了させた。8月には、企業価値を約740億ドル(約11兆7660億円)と置いた上で、80億ドル(約1兆2720億円)近くを集める第2弾の調達を再開した。上海証券取引所の科創板(スター・マーケット)への上場準備も並行して進む。
集めた資金の使い道もはっきりしている。従業員数は少なくとも2倍に増やす計画で、データセンター部門とAIエージェント部門が増員の中心となる。外部供給元への依存を減らすため、自社チップの開発にも着手した。
DeepSeekはAIを安く作る方法を見つけたことになっていた。それが本当なら、これほどの資金も人員も要らないはずだ。効率化によってAIインフラを不要にしたはずの企業が、AIインフラを買うために、2度の調達で総額150億ドル(約2兆3850億円)規模の資金を集めようとしている。需要が供給をあまりに大きく上回るため、効率の高さで世界に名をとどろかせた研究所がデータセンターを建て、半導体を設計している。DeepSeekは、すでに手元にある計算資源を誰にどれだけ配るかを制御するために、割増料金を取っている。
弱気派が手にした最強の証拠が、強気派と同じ支出を始めた
安さをめぐる次の恐怖は、時期が来ればまた現れる。どこかの研究所が、最先端と同じ品質をはるかに安い費用で出せると主張し、半導体関連銘柄が揺れ、2025年1月と同じ筋書きがまた持ち出される。
8月13日に出た価格表は、安いAIが巨額投資を無用にするという物語に決着をつけた。コモディティ帯は安くなり続け、AIが使われる場面は広がっていく。最先端の能力を築き、供給するには、依然として実際に金がかかる。DeepSeekはこの事実を、市場が全面的に信じる唯一の言語、すなわち自社が公開した価格表で語った。エヌビディアはかつて、DeepSeekが生んだ伝説に1日で5890億ドル(約93兆6510億円)を明け渡した。そのエヌビディアが現在では、GPUの調達先として頼られ、データセンター建設と半導体設計の手本にされている。
AI投資に弱気な陣営が最強の証拠として掲げてきたDeepSeekは、現在、強気な陣営と変わらない規模でAIインフラへ金を投じている。


