マーケット

2026.08.16 08:00

S&P500が最高値更新、個人投資家がトランプ「イラン発言」に賭ける前に知っておくべきこと

Photo by Anna Moneymaker/Getty Images

Photo by Anna Moneymaker/Getty Images

米国時間8月13日、S&P500種株価指数は取引時間中に初めて7800を突破し、2営業日続けて終値ベースで最高値を更新した。ここまで相場を押し上げてきた60日間の停戦は、8月17日に期限を迎える。ところが当事者である米国とイランは、協議が行われているかどうかについてさえ、説明が食い違っている。仲介役を務めるパキスタンは、延長文書はすでに作成済みで、あとはトランプ大統領が署名するだけだと説明する。イラン高官はロイターに対し、延長をめぐる協議は一切存在しないと語っている。テヘランの立場では、この合意は数週間前にすでに消滅しているからだ。

最高値を更新したまま、その期限へ向かう相場は、一見すると危機感の欠如に映る。だが実態に近いのは、学習された行動だ。トレーダーは数カ月にわたり、戦争が終わりに近づいたというトランプの示唆を買うたびに報われてきた。そしてトランプも同じ数カ月間、相場が示唆を求めるたびに、それを供給し続けてきた。その経緯を踏まえれば、8月15日からの週末は、最高値更新が思わせるほど楽観できる局面ではない。

攻撃中止の発表を受けて、株価と原油は正反対に振れた

7月下旬、米国株はじりじりと水準を切り下げた。売りを主導したのは半導体株だった。ところが8月最初の週末に入ると、トランプは自ら大規模と表現したイラン攻撃を取りやめた。合意の骨格に達したと説明し、直接協議は米国時間8月3日午後に始まると明らかにした。

市場は、学習されたとおりに動いた。8月3日、S&P500種は1.48%上昇し、ナスダック総合指数は2.1%上げ、ダウ工業株30種平均は終値ベースで最高値を付けた。主要3指数は揃って1%を超える上昇となった。米国産WTI原油先物は6.2%下げ、1バレル79.41ドルとなった。この原油安は、米国債利回りも一緒に押し下げた。株式も原油も債券も同じ方向へ動いた理由は1つだ。投資家が、戦争はついに終わるかもしれないと判断したのである。

相手国が否定した交渉を、市場はそのまま買い上げた

ただ、この8月3日を通常の安心感による上昇と分ける点が1つある。米国株式市場全体を丸ごと評価し直させたその協議は、相手方に言わせれば存在しなかった。イラン外務省は、米政府との交渉が行われている事実そのものを否定した。トランプは協議が進行中だと譲らず、否定してみせるイラン指導部を「信じられないほど二枚舌」と呼んだ。それでも上昇は崩れなかった。株式が織り込んでいたのはワシントン側が語る筋書きであり、それ以外ではなかった。

次ページ > 株安局面では和平示唆、株高局面では強硬姿勢が目立つ

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事