SaaSプロバイダーは、エージェント型AIの勢いが増すなかで圧力にさらされている
調達は骨の折れる仕事である。理論上、調達責任者は戦略的目標に注力している。価値を生み出すのに最適なサービスプロバイダーを見極め、その価値を最も競争力のある価格で確保するために契約を交渉することだ。しかし実際には、多くの調達部門が、発注書の作成から請求書管理まで、過剰な書類作成と手作業のワークフローに疲弊している。
Spendflo(スペンドフロ)は、そこに支援の余地があると考えている。サンフランシスコを拠点とする同スタートアップは、ソフトウェア・アズ・ア・サービス(SaaS)管理ツール群で知られてきたが、調達分野へと軸足を移しつつある。同社は、人工知能(AI)エージェントを活用して煩雑な作業の多くを担う、自律型調達プラットフォームを立ち上げた。
「Flo」と名付けられたこのプラットフォームは、同社にとって自然な進化だったと、Spendflo共同創業者兼CEOのシッダールト・スリダラン氏は振り返る。「当社は約200社のソフトウェア支出を管理してきた。その経験によって、調達における痛点を身に染みて理解することができた」と同氏は語る。「加えて、そうした企業の中で、より広範に調達管理を当社に任せたいという企業が増えてきた」
事実上、SpendfloがSaaSサブスクリプションの管理、そして近年ではその他の企業支出の管理を通じて蓄積してきたデータと経験が、調達管理プラットフォームを立ち上げるために必要な市場インテリジェンスをもたらした。「当社のエージェントが、調達に伴う反復可能な業務のすべてを顧客のために支援できれば、調達責任者は戦略的な取り組みに時間を振り向けられる」とスリダラン氏は言う。「リーダーは、自らがいかに事業の推進役となり、パートナーから可能な限り大きな価値を引き出すかに集中すべきだ」
AIエージェントに、受付、承認、契約、買掛金といった調達プロセス業務を任せられない理由はないと、スリダラン氏は述べる。そうすることで調達チームは、ベンダー戦略や商談交渉など、専門的な判断が求められる業務に集中できるようになるはずだ。
これまでに、Spendfloの既存顧客のうち約50社がFloプラットフォームの利用を開始している。同社は今週、このプラットフォームを商用展開し、成長を加速させたい考えだ。これは同社にとって確かに興味深い転換であり、SaaS市場の進化をめぐるより大きな議論を反映している。
筆者が初めてSpendfloを取り上げたのは2022年、同社が初の資金調達として440万ドル(約7億円)のラウンドを実施し、SaaSベンダーの合理化ソリューションを軌道に乗せようとしていた時期だった。その後、同社は200社を超えるエンタープライズ顧客を獲得し、売上高は10倍に増えた。同社の当初の価値提案、つまり、肥大化したSaaSサブスクリプションを顧客が把握し、価値を確保しながらコストを削減できるツールを提供するという提案は、明らかに市場に響いた。
しかし現在、Spendfloは潜在的に厳しい市場環境に直面している。AIの一見止まることのない進展は、従来型のSaaSプロバイダーに打撃を与えるものとして、ますます受け止められている。現在SaaSプロバイダーに料金を支払って任せている仕事を、AIエージェント、さらにはエージェントのチームに設定して実行させられるのであれば、なぜ際限なくソフトウェアソリューションを導入する必要があるのか。
一部のアナリストは「SaaS-pocalypse(SaaS黙示録)」を予測している。彼らが指摘するのは2月の市場調整だ。AIの台頭に対する懸念を背景に、SaaS、データ、ソフトウェア依存度の高い企業の価値から3000億ドル(約47兆7000億円)が吹き飛んだ。
実際には、有力な市場調査会社Forrester(フォレスター)は、見通しはより複雑だと考えている。同社は最近のブログでこう結論づけた。「企業は、フロント、ミドル、バックオフィスのワークフロー全体にわたる中核機能のために、数千万ドル、場合によっては数億ドルをSaaSに費やしている。世界のSaaS支出は2025年の3180億ドル(約50兆6000億円)から2029年には5760億ドル(約91兆6000億円)に拡大すると予測されており、変容はしているものの、企業の中核が消え去るわけではないことを示している」
むしろForresterは、SaaS市場が根本的に変化するとみている。企業のワークフローに十分組み込まれていない水平型のポイントソリューションを提供するベンダーは、とりわけ大きな圧力を受けるという。それでも同社は、「SaaSからAIへの変革」を予測している。
Spendfloにとって、それは悪材料となり得る。「SaaS支出は減っていないが、企業がソフトウェアに求める期待値は大幅に高まっている」とスリダラン氏は振り返る。「SaaSは実質的に、新世代のネイティブAIツールに置き換えられていくだろう」
だとすれば、このスタートアップにとって重要なのは、その波に飲まれるのではなく、その上を乗りこなすことだ。Spendfloは、AIエージェントによって実現される、より広範な調達管理プラットフォームの立ち上げを、調達の考え方を変えつつある企業を支援するための手段と位置づけている。「これは、誰もが向き合わなければならない変化だ」とスリダラン氏は締めくくった。



