なぜネガティブな思考はこれほど説得力があるのか
ポジティブな思考よりもネガティブな思考の方が強力に感じられるのには理由がある。人間の脳には「ネガティブ・バイアス」が組み込まれている。それはネガティブなことに対してはマジックテープのように密着し、ポジティブなことに対してはテフロン加工のように受け流してしまう。
それはなぜか。脳は危険を察知するように進化してきたからだ。生存するためには、夕日の美しさに感動することよりも、茂みの中にいる捕食者に気づくことの方が重要だった。
この生存のためのバイアスは、現代でも機能している。たとえその「危険」が、採用の見送りや、期待外れの人事評価、感情的な会議、あるいは締め切りの超過であったとしてもだ。
脅威を過大評価し、それに対処する自分の能力を過小評価する傾向があるからこそ、批判は記憶に残りやすく、称賛はすぐに消え去ってしまう。たった一つの厳しい言葉が、いくつかの褒め言葉をかき消してしまうこともある。一つの挫折が、突然すべての歯車が狂ってしまった証拠のように感じられることもある。
かつて、専門家パネルで登壇した後に、このバイアスが働くのを目の当たりにした。司会者の進行に感銘を受けた私は、終了後に「今日のパネルでのあなたのファシリテーションは、すばらしい進行でした(total dope)」とメールを送った。
彼女は、最初にそのメッセージを読んだとき、「あなたは完全な間抜け(total dope)でした」と書かれていると思ったという。
彼女は最終的に正しく読み直したが、最初の誤解は、そのようなイベントの司会を務めたことがないという彼女の不安を浮き彫りにしていた。彼女の内なる批判者が余白を埋め、称賛(スカイマインド)を批判(クラウドマインド)へと変換してしまったのだ。それは現実をありのままに伝えるのではなく、恐れや過去の経験、思い込みというフィルターを通して現実を歪めてしまう。
「内なる批判者」を信じることの代償
ミスをした後に自分を責める人は多い。自己批判が改善の動機になると信じているからだ。しかし、過度な自己否定は逆効果をもたらす。視野を狭め、不安を煽り、回避行動を促してしまう。さらに、クリエイティブな挑戦やキャリアにおいて必要なリスクを取る意欲を奪うことにもなりかねない。


