AIは、企業経営者として歩んできた私のキャリアの中で最もエキサイティングであり、最も不安を掻き立てる存在だ。私の見解では、これを「あってもなくてもいい贅沢品」として扱うリーダーは、10年後に自社が存続していないリスクを負うことになる。
2年前なら従来型の開発で9カ月を要したソフトウェアプロジェクトが、今では2週間で完了する。これを可能にしたのは機械知能であり、私の市場にいるすべての競合企業に対しても同じことをするだろうと私は見ている。だが、誰もがスピードを手にした瞬間、スピードは優位性ではなくなる。残る差別化要因は、ビジネスにおける最も古典的なスキルだ。すなわち、どの標的に撃つ価値があるのかを見極め、いつ方向転換すべきかを正確に知ることである。
拙著『The Hunt: Target, Track and Attain Your Goals』の中で、私はこの規律を「流動的実行(fluid execution)」と呼んでいる。それは、現実を絶えず再評価し、勢いが足かせになる前に方向を切り替える能力だ。私はこれを、企業の役員会議室に足を踏み入れるずっと前、ミシガンの森で学んだ。ある年、家族の農場で何年も成果を上げていたツリースタンド(狩猟用の樹上台)から鹿の姿が消えた。彼らはパターンを変え、西側の鬱蒼としたヒマラヤスギの林へと移動していたのだ。私はスタンドをその新たな場所へ移し、9ポイントの雄鹿を仕留めた。
その戦術的な教訓は、それ以降に私が築いたあらゆる事業で真実であり続けている。どれほど信頼できる資産でも、いずれは枯渇する。唯一の防御策は、シーズンが終わる前に変化を予見することだ。同じ場所にとどまることは、リーダーが下し得る最も高くつく判断であることが多い。
情報よりも判断
私のキャリアの大半において、流動的実行は情報によって制約されていた。業界の状況を知るには、何週間ものマクロ経済調査と現場での偵察が必要だった。しかしアルゴリズムは、いかなるチームよりも速くパターンを分析し、リスクを予測できる。それはすべての競合に同時に同一の火力を与えることを意味する。制約はもはや、リーダーがどれだけ知りうるかではなく、どれだけ的確に判断できるかである。
私が見るに、多くの経営者は今なお「AIロードマップをどれほど野心的にすべきか」を問うことに時間を浪費している。ヘルスケアオペレーション、商業用不動産、デジタルメディアの各分野で成功する企業を築いてきた経験から言えば、それは最適化すべき変数ではない。野心は宣言するのが容易で、真似するのも安上がりだ。構造的優位性は、手元にあるツールを使って行動し、兆候が求めた瞬間に方向を転換する者だけに与えられる。
モデルはミリ秒単位で推奨結果を出す。だが、引き金を引くかどうかは依然として完全に人間の判断だ。優位性は今、その判断の中にある。
潔く撤退するという規律
頑固なこだわりの代償を、私は身をもって学んだ。キャリアの初期、私は狩猟トーナメントのスタートアップのために資金を調達したが、自分では打破できない規制と市場の力の前で頓挫するのを目の当たりにした。ところがその事業の失敗の中に、より良いアイデアが埋もれていた。アウトドア業界の断片化したオンライン広告枠を単一のネットワークに集約すれば、当初の事業計画よりはるかに早く投資家の財務目標に到達できると気づいたのだ。
私はトーナメント事業を葬り、メディアネットワークを立ち上げ、大手自動車メーカーとの試験運用を通じて、約束した期日通りに事業を黒字化させた。私は現在の企業も同じ原則で経営している。より優れた選択肢が現れた瞬間、たとえそれが自社のプラットフォームであっても、極めて収益性の高いプラットフォームからクライアントを移行させる。
流動的実行が求めるのは、昨日築いた収益を、明日市場に奪われる前に手放すことだ。多くの組織が失敗するのは、アイデアが足りないからではなく、それを手放せないからである。
アルゴリズムが通用しない領域
現在の私の主戦場はヘルスケアオペレーションだ。この業界は歴史的に、手作業、複雑な請求システム、極めて薄い利益率に苦しめられてきた。ようやくテクノロジーが、キャッシュと臨床ケアを司る複雑なワークフローに手を伸ばしている。
現代のソフトウェアは、再入院リスクの高い患者を検出し、週単位の人員不足を予測し、異議申立てに値する特定の保険拒否事案を抽出できる。これらは明白な業務上の成果だ。かつては全ての拒否事案に均等かつ盲目的に対応していたチームが、今ではデータに基づいて戦うべき事案を選べるようになった。
とはいえ、機械が病院を運営するわけではない。私はベテランの臨床医が、データセットには捉えられない直感的な患者コンテキストを持っているがゆえに、アルゴリズムのリスクスコアを無視する場面を見てきた。収益サイクルのリーダーは、支払者との関係における微妙な変化をソフトウェアが捉えきれないとき、自動化された優先順位リストを日常的に手作業で並び替えている。
アルゴリズムは視野を広げるが、最終的な一撃は人間に委ねられている。可能であれば、私は明日にでもあらゆる請求ワークフローを自動化したい。現実的には、5年で収益サイクルの30%を自動化できれば勝利であり、50%なら異例の成果だ。残りは人間の判断を必要とする。そしてそれは今後も変わらないと私は信じている。そのギャップ、すなわち「自動化できる領域」と「解釈が必要な領域」の間こそが、今、実行の勝敗を分ける場所だ。
残るもの
流動的にピボットする能力こそが、永続する企業と歴史の敗者を分ける。BlockbusterやBordersは、市場の変化を読み違え、行動が遅く、何年もかけて衰退していった。現在、私は、テクノロジー競争がこの致命的な時間軸を四半期単位にまで圧縮していると考えている。9カ月のプロジェクトが数週間に短縮される時代において、時代遅れの計画への盲目的な固執は、経営者にとって最も高くつく誤りとなる。
AIは一晩で1000の機会を発掘できる。だが、あなたのカレンダーに値する3つを選び抜くのは、依然としてあなたの責任だ。私は自分のチームに繰り返し伝えている。活動は結果と同義ではない、と。あらゆるソフトウェアアプリケーションが命令一つで無限の活動を生み出せる時代において、生き残るリーダーはその違いを知る者だけだ。それ以外は「動くこと」を「進歩」と取り違え、それを戦略と呼ぶだろう。



