「干し草の山から針を探す」
マケナリーは「ローマンの広大な範囲におよぶ観測が、奇妙な天体や極めて珍しい天体、特異な天体などの発見を可能にするに違いない」として、周惑星円盤を持つ系外惑星、銀河系内にある孤立したブラックホールや中性子星、暴走する超大質量ブラックホールなどの天体に言及した。「干し草の山から針を探す、という言葉の意味を定義し直すことになるだろう」
さらにローマンは、主星の眩しい光を遮蔽することで、周囲にある系外惑星を直接撮像する助けになる遮光装置のコロナグラフを搭載する。これにより、太陽系近傍にある太陽に似た恒星を公転する地球サイズの惑星を将来の宇宙望遠鏡で直接撮像するための技術の実用性が実証されることが期待されている。
暗黒エネルギーと暗黒物質をマッピング
ローマンの目的の1つは、現代天文学における最大の謎の1つ、宇宙の膨張が加速している理由の解明に挑むことだ。膨大な数の銀河の位置マッピング、重力レンズ効果(背景にある銀河の光が手前にある銀河の重力で歪む現象)によるわずかな歪みの測定、多数の超新星の観測などによって、ローマンは暗黒エネルギー(ダークエネルギー)の史上最も包括的な観測データを生成する。暗黒エネルギーは、宇宙の加速膨張を駆動すると考えられている未知のエネルギーだ。これにより、暗黒物質(ダークマター)が宇宙のどこに存在し、宇宙全体にどのように広がっているかをめぐる天文学者の調査がついに可能になると期待されている。
さらにローマンは、超大質量ブラックホール、恒星の爆発現象、星形成領域、近傍の銀河、小惑星、彗星やその他、数えきれないほど多様な宇宙現象を調査する見通しだ。
ウェッブとローマン:地球から約150万kmのL2点で連携
8月30日の打ち上げ後、ローマンは地球から約150万kmの距離にある太陽地球系ラグランジュ点L2に向かい、そこでジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)と合流する。このL2点から、ローマンとJWSTは相補的なパートナーとして機能することになる。JWSTは個々の銀河や恒星、星雲などの詳細な調査を続ける一方、ローマンはその周囲に広がる宇宙の広大な領域を調査し、さらに細密に調べるための最も興味深いターゲットを特定する。
NASAのマケナリーは「ローマンは、天文学のあらゆる分野に影響を与える革命的な観測を実施する態勢ができている」として「これが可能となるのは、ローマンの主要な観測装置が極めて高い性能と感度に加えて、広範な空の領域を迅速かつ効率的に観測する能力を兼ね備えているからだ」と説明した。


