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2026.08.16 07:00

874.5兆円の賭け──「トークン化」は暗号資産のスローガンから米金融の本業へ

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トークン化株式は3つに分かれ、伴う権利もそれぞれ異なる

「トークン化株式」を買うとき、投資家は実際に何を手にしているのか。この呼び名は、法的には何通りもの異なる仕組みを指しうる。

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もっとも直接的なのは、発行体自身が主導するトークン化で、ネイティブ発行(native issuance。企業が自ら公認して発行する形式)とも呼ばれる。企業がトークンを公認し、ブロックチェーン上の移転がその企業の正式な株主記録の一部になる、あるいはその記録に反映される。トークン化基盤を手がけるSecuritizeは、7月に自社の普通株がティッカー「SECZ」でニューヨーク証券取引所に上場した際、この方式を採った。条件を満たす米国の投資家は、AvalancheまたはSolanaのブロックチェーン上でトークン化された形の株式を保有できる。このトークンは、Securitize株の値動きを追うだけの無関係な商品ではない。普通株そのものを、別のやり方で記録したものである。

クラーケンのxStocksは株式が裏付け、議決権は発行体次第

より多いのはカストディ型のラッパー(wrapper。資産を包んで別の形にした商品)だ。第三者が従来型の株式を保管し、それに対する持ち分を表すトークンを発行する。たとえばクラーケンのxStocksは、保管されている株式と上場投資信託(ETF)に1対1で裏づけられており、米国外の条件を満たす顧客に提供されている。ニューヨークを拠点とするトークン化基盤のOndoも、同種の商品を数百種類そろえる。この種のトークンはウォレット間を移動でき、米国の取引所が閉まっている間も売買できる。ただし議決権や配当、償還がどうなるかは発行者の定める条件次第である。

ロビンフッドが販促トークン配布、OpenAIは関与を否定

合成型の商品はさらに1歩離れており、株式を保有しないまま、その株式の経済的な収益だけを提供する。ロビンフッドは2025年、欧州の顧客にOpenAIとスペースXの名を冠した販促用トークンを配布し、この違いをはっきりと浮かび上がらせた。OpenAIはただちに、そのトークンは自社の株式ではなく、いかなる持ち分の移転も承認しておらず、この商品を支持してもいないと表明した。ロビンフッド側は、特別目的会社(SPV。特定の資産や取引のためだけに設けられる会社)を通じて顧客に間接的な投資機会を提供するものだと説明した。つまり買い手が得たのは、OpenAIの株主名簿に載る地位ではなく、その評価額に追随するよう設計された請求権だった。

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多くの投資家にとって、この違いはさほど問題にならない。テスラに連動するトークンを買う人の多くは、テスラの株価が上がることを望んでいるだけで、株主総会での1票を求めているわけではない。信頼できるラッパーであれば、その投資家が欲しいものはすべて手に入る。そもそも従来型の投資でも仲介は幾重にも入っており、米国人の大半は証券会社を通じて株式を保有していて、企業の帳簿に直接名前が載ることはない。

とはいえ、価格への連動は所有ではない。株式には法的な権利が伴うが、ラッパーに伴うのは発行者が約束した範囲の権利にすぎない。その違いが、配当や議決権、企業行動がどう扱われるか、トークンを償還できるのか、発行者やカストディアンが破綻したらどうなるのかを左右する。だからこそ、トークン化証券の目論見書は細かい字まで読んでおく必要がある。

トークン化預金は預金保険の対象、ステーブルコインは対象外

トークン化預金は、事実上、銀行によるステーブルコインへの回答である。どちらもドルをブロックチェーン上で動かせるようにするが、保有者が請求権を持つ相手は異なり、何かあったときの保護の中身も違う。

ウェルズ・ファーゴがトークン化されたドルを発行すれば、通常の預金口座の残高と同じように、ウェルズ・ファーゴが保有者に1ドルを負うことになる。通常の銀行規制と連邦預金保険の上限が、該当する範囲で適用される。これに対しUSDCのようなステーブルコインは、企業(この場合はサークル)が現金や米国債などの短期証券を準備資産として発行するものだ。1ドルの価値を保つように設計されてはいるが、預金保険の対象となる銀行預金ではない。

そもそもなぜ預金をブロックチェーンに載せるのか。銀行はすでにFedNowやザ・クリアリング・ハウスのRTP(リアルタイム決済網)など、24時間動く国内決済網を運用しており、速さだけを取れば目新しさはない。より説得力があるのは、通貨と時差をまたいで資金を動かす法人顧客への対応であり、条件が満たされたときに支払いが実行されるようプログラムを組めることであり、従来の決済網に戻らずに銀行のお金でトークン化証券の決済を済ませられることだ。

銀行は預金流出を警戒、銀行間の共通網は2027年上半期に稼働

銀行には商業的な動機もはっきりある。預金は貸し出しの原資になり、顧客を自行の決済圏内につなぎとめる。ステーブルコインが必ずしも銀行システムから資金を引き揚げるわけではない。発行者は準備資産を銀行に預けているからだ。それでも、預金と決済の活動を、サークルやエルサルバドルを拠点とするテザーのようなステーブルコイン企業のほうへ向かわせる可能性はある。預金をトークン化すれば、銀行は同じような機能を提供しながら、自らの事業基盤を守れる。ただし引き換えに、トークン化預金には発行した銀行の信用リスクが伴い、他行のトークンと交換できるわけでもない。準備資産を全額積むステーブルコインは、預金の裏にあるレバレッジこそ避けられるが、代わりに発行者自身のリスクを抱え込む。保有者は、準備資産を約束どおり保有・運用してくれると1企業を信じることになる。

この分断こそが制約になっている。ある銀行が発行したトークンは、まだ別の銀行の顧客に支払えない。ザ・クリアリング・ハウスの構想は、この隙間を埋め、加盟行の間でトークン化預金を行き来させることを狙っている。報じられている開始目標は2027年上半期で、最初の利用者は多国籍企業になる見通しだ。

結論:銀行も清算機関も動き出し、次は移行後に何が良くなるかが問われる

トークン化はもはや実証実験の寄せ集めではない。だが、推進者たちが約束してきたような金融の全面的な変革にも、まだ達していない。トークン化は資産を移しやすくすることはできても、悪い投資を良い投資に変えることはできない。流動性のないところに流動性を生み出すこともできないし、ラッパーを、それが追いかけている証券そのものに変えることもできない。

銀行、資産運用会社、取引所、清算機関がそろって本格的な構築に入った以上、トークン化を単なる技術実験として片づけるのは難しい。とはいえ、進歩を本当に測る物差しは、ウォール街のどれだけがブロックチェーンに移ったかではない。移り終えた後で、金融業界の動きが目に見えて良くなっているかどうかである。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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