優れた生産性向上メソッドは、起業家が「何に取り組むべきか」、そしてさらに重要なことに「何に取り組むべきではないか」を決めるのに役立つ。
物事を先延ばしにしがちな人や時間に追われている人にとって、新しい生産性向上ハックはすぐに魅力的に映るものだ。しかし、最初は画期的に思えたテクニックや回避策の斬新さは、高い志とともに、すぐに薄れてしまう。
一過性の時間を節約するだけの生産性ギミックと、真に時の試練に耐えるメソッドとの間には、際立った違いが1つある。それは、極めて優れたメソッドは、起業家が何に取り組むべきか、それ以上に、何に取り組むべきではないかを決める手助けをしてくれるという点だ。
何に取り組むべきではないか:生産性の難題
これは起業家にとって長年の課題だ。Time etcが2023年に米国を拠点とする251人の起業家を対象に実施した調査によると、回答者は1週間の労働時間の平均36%を、請求書発行や経費精算などの管理業務に費やしていた。これらの業務は、ビジネスを成長目標に近づけるものではない。
ここで、最も息が長く、見事なまでにシンプルな生産性メソッドの1つである「アイゼンハワーマトリクス」(別名「緊急度・重要度マトリクス」)やその派生形を考えてみよう。タスクの優先順位を評価するこの手法は、わずか数分で実行でき、重要でなく緊急でもないタスクに時間を無駄にしないようにすることで、結果的に何時間もの節約につながる可能性がある。これにより、他人に任せるべき業務と、自分自身の時間と注意を集中させるべき業務が明確になる。
そして、それこそが最大の課題の1つなのだ。起業家は、自らのエネルギーと時間をどこに向けるのが最善であるかを見極めるのに、実に苦労している。何に取り組むべきかわからないということは、最大の生産性阻害要因として何度も浮かび上がってくる。植物の健康状態を測定するセンサーを開発するスタートアップ、SmartyPlantsの創業者であるベン・ビーバーズは、自分が正しいことに取り組んでいるかどうかを判断するメソッドを導入する前に、身をもってこの教訓を学んだ。現在、彼は各四半期の始まりに、90日後の「成功」の姿を定義している。そして毎月、その目標を達成するための新たな30日間の目標を設定している。
あわせて読みたい
ビーバーズは次のように語る。「シンプルに聞こえるが、これが私の生産性を阻害していた要因、つまり戦略的思考と戦術的思考を絶えず行き来することを排除してくれた。以前は、作業を実行しようと席に着いても、自分の取り組んでいることが本当に正しいことなのかを疑問に思うことに時間の半分を費やしていた。今では、そうした思考プロセスはあらかじめ済ませてある。日々の業務では、ただ実行するだけだ」
このメソッドは、それ以来、ビーバーズのビジネスの運営リズムとなった。「毎週、何時間もの時間を節約できており、チーム全体が同じ方向に向かって進むことができるようになっている」と彼は付け加える。
最高の生産性のために成果に集中する
最終目標を明確にすることは、良い出発点となる。Glow Social Marketingの創業者であるベス・デイヴィスにとって、彼女が好むメソッドは「今、何をすべきか?」という思考から、「どのような成果に近づいているか?」という思考へと意識を向かわせるものだ。
その方法の1つが、「アウトカム・バッチ処理(成果ごとの一括処理)」だ。これはタスクではなく、成果を中心に仕事を構成するものだ。デイヴィスは、コンテンツ作成、管理業務、クライアントワークといった作業ベースで1日の計画を立てるのではなく、まず「リード獲得の強化」「認知度の向上」「成果物の提供」といった、自分が求める成果から始める。そして、その結果をもたらすすべてのタスクを、1つの集中したブロックにまとめる。例えば「リード獲得」ブロックには、LinkedIn用のコンテンツ作成、戦略的な投稿、ターゲットを絞ったアウトリーチなどが含まれ、そのすべてが1つの目標に向かって進められる。
デイヴィスはこう語る。「これで週に数時間は節約できているが、何よりも重要なのは、限られた勤務時間が、細切れの活動ではなく、ビジネスの成長に直接結びつくようになったことだ」
同様に、彼女は毎日を「収益優先(レベニュー・ファースト)」の時間からスタートさせている。メールやメッセージ、クライアントからの連絡を確認する前に、最初の1〜2時間を、アウトリーチ、リード獲得のためのコンテンツ作成、見込み客へのフォローアップなど、収益やインバウンド需要を直接生み出す業務だけに費やすのだ。
彼女はこう説明する。「以前は、頭が最も冴えている時間を受動的な仕事に費やし、成長のための活動をエネルギーが低下した一日の後半に回してしまっていたことに気づいた。それを逆転させることで、周囲の雑音に邪魔される前の毎朝、ビジネスを確実に前進させることができるようになった」
生産性に関する判断を代行するツール
生産性を高めるためにAIを活用している人々にとっても、同じルールが当てはまる。これらのツールが提供できる最も有用な生産性支援のいくつかは、ユーザーの手から意思決定のプロセスを取り除く手助けをすることだ。
ジャーナリストやPRチーム向けに研修を提供するAI for Mediaの創業者、ハリエット・マイヤーは、まさにこれを実行するワークフローを構築した。AIツールのClaude(クロード)を使って構築された彼女の「モーニング・ブリーフィング(朝の報告)」は、毎朝午前8時に自動的に実行され、彼女のビジネスに関連するニュース記事をスキャンし、カレンダーをチェックして、その日のタスクの優先順位にフラグを立てる。彼女が行うべきなのは、最初のセットアップだけだ。
マイヤーによると、読むのにかかる時間はわずか数分で、週にほぼ丸1日分の時間を節約できているという。「毎日、カレンダーの予定や、おそらくやるべきなのにまだ手をつけていないことを教えてくれる。まず何に目を向けるべきかを自分で決める必要はない。すでに整理されているから」と彼女は言う。
これが機能するのは、マイヤーが時間をかけて約20個のカスタムスキルを設定したからであり、これは誰でも再現できると彼女は言う。彼女はこう説明する。「スキルとは、必要なときに呼び出せる、保存された一連の指示にすぎない。私の場合、AIとメディアに関するニュースをスキャンするスキルや、研修を終えたクライアントへのセッション後のフォローアップ手順を実行するスキルなどがある。これらのスキルは私の実際のビジネスに合わせて構築されているため、フォローアップが終わっていないクライアントを教えてくれたり、ニュースのスキャンでも私が研修で扱うテーマに関連する記事だけを抽出してくれたりする」
無関係な情報は一切入ってこないため、マイヤーは膨大な情報の海をかき分けて何が重要かを判断する必要がない。彼女はさらにこう付け加える。「起業家にとって、これは決断疲れを軽減するのに役立つ。決定はすでに下されているのだから、あとは始めるだけだ」
つまり、最も優れた生産性ハックとは、タスクをより速くこなすことではなく、「何に取り組むべきか」という混乱を取り除くことなのだ。時間は限られており、エネルギーは消耗するものだ。だからこそ、どのタスクに自分たちの注意を向けるべきかを決めることが、より多くのことを成し遂げるための鍵となる。



