新たなデータによると、4月に発表された人員削減の理由として、企業による人工知能(AI)の導入が2カ月連続で最多の要因となった。しかし一部の専門家は、他業種よりもこの理由を多用しているテクノロジー企業について、AIを口実にしてより大きな社内問題を隠しているのではないかと指摘している。
サンフランシスコで開催されたスノーフレーク年次サミットで登壇するOpenAIのCEO
2025年6月2日、カリフォルニア州サンフランシスコにて登壇するOpenAIのサム・アルトマンCEO。
主な事実
人材サービス会社チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス(Challenger, Gray and Christmas)の新データによると、米国を拠点とする雇用主は4月に8万3387件の人員削減を発表し、3月と比べて38%増加した。
そのうち26%(2万1490件)はAIが原因とされ、AIは2年連続で人員削減の最大の要因となり、通年では3番目に多い解雇計画の理由となった。
コインベース(Coinbase)、メタ(Meta)、オラクル(Oracle)などの企業がAIを理由に数千人規模の人員削減を進めるなか、一部のテック企業のCEOや専門家は、企業がこの口実の陰に隠れていると指摘している(AIを理由とするテック業界の人員削減のタイムラインはこちら)。
AIインフラ企業スケールAI(Scale AI)のジェイソン・ドローグCEOは先月、CEOたちが人員削減や、通常であれば「適正化(ライトサイジング)」と見なされるような削減を行うために、AIという「口実」の陰に隠れていると述べた。
サム・アルトマンは今年初め、企業が人員削減を「AIウォッシング」し、いずれにしても「実施していたはずの」削減をAIのせいにしていると非難した。
ビジネス・インサイダー(Business Insider)によるアポロ(Apollo)のチーフエコノミスト、トルステン・スロックへのインタビューでは、「業績が振るわない企業がAIを悪者に仕立て上げ……責任逃れを図っている可能性は十分にある」と指摘された。
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背景
労働市場の専門家は以前から、AIが仕事を奪い労働人口を縮小させることに警鐘を鳴らしてきた。AI大手アンスロピック(Anthropic)の共同創業者兼CEOでビリオネアのダリオ・アモデイは、大規模な雇用喪失が到来する可能性が高いという現実を、AI企業と政府当局が「美化している」と非難した。ビリオネアのジャック・ドーシーは、自身の会社ブロック(Block)での人員削減は、より小規模で迅速なチームにAIを統合することが目的だと述べた。また暗号資産取引所コインベースのブライアン・アームストロングCEOは、同社は場合によってはチームを1人にまで縮小し、その1人がAIエージェントの助けを借りて複数人分の仕事をこなすことが期待されると語った。テック企業のCEOらは最近、AIルネサンスにおいて中間管理職やホワイトカラーの仕事が最も脆弱である可能性が高いと警告しており、最近の世論調査では、AIによる職の代替による大規模な人員削減を懸念している人が国民の3分の1にのぼることが示された。一方で、AIの活用を受け入れる従業員には心配することは何もないという見方もある。スタンフォード大学のモーガン・フランク教授は今年初め、AIによる代替の対象となっている仕事は、AI技術の急成長以前から既にリスクにさらされていたことを示す研究論文を発表した。セールスフォース(Salesforce)のCEOでビリオネアのマーク・ベニオフは、同社は「AIの指数関数的成長の波に乗る」ために1000人の新卒者とインターンを新規採用すると述べた。
驚くべき事実
米国国勢調査局の推計によると、サンフランシスコ、ボストン、シアトルといったテック企業が集中する地域の企業は、他の地域よりもはるかに高い割合でAIを活用している。
関連情報
チャレンジャーによると、テクノロジー業界の企業は4月に3万3361件の人員削減を発表し、今年これまでの累計は8万5411件に達した。これは昨年の同時期に発表された人員削減件数から33%の増加である。年初来のテック業界の人員削減件数としては、ここ数年で最多の水準となる。今年通期で人員削減の理由として最も多く挙げられているのは市況・経済状況で、次いで事業閉鎖、AI、リストラクチャリングが続く。
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