パーパス(存在意義)は、ウェルビーイング、パフォーマンス、そして人とのつながりを促進する。
パーパスを持つことは、個人、チーム、そして組織に計り知れない利益をもたらす。そして、パーパスを高めてそのメリットを享受するために、実践的なステップを踏むことは十分に可能だ。
メンタルヘルスやウェルビーイングに関する課題がかつてないほど高まる一方で、組織も市場の要求に応えて成果を出さなければならないという、ますます強いプレッシャーにさらされている。こうした問題に直面したとき、パーパスが大きな違いを生む可能性がある。
パーパスを活かす
パーパスとは何だろうか。真のパーパスを感じるには、3つの要素が必要だ。自分自身よりも大きな、価値のある存在があり、それに対して自分が独自の貢献をできていると感じるとき、人はパーパスを抱く。さらに、パーパスが「人」に関連しているとき、それはモチベーションを刺激するものとなる。従業員は年間の成長率や利益率の向上にコミットするかもしれないが、最も熱意を引き出すのは、自分たちの仕事や組織の取り組みが、他者のためにどのような成果をもたらしているかを理解することだ。
1. パーパスを明確に言葉にする
パーパスを活性化するための第一の方法は、それを明確に言葉にすることだ。組織の「なぜ(存在理由)」と、自分自身とのつながりが明確に理解できているとき、メンバーは自分の仕事や貢献に最も強いつながりを感じる。これが主体的な努力を促す原動力となる。
実際、ハーバード・ビジネス・レビューに掲載された研究によると、企業がパーパスを明確に伝え、それが広く理解されている場合、その52%が10%の成長を遂げたのに対し、パーパスを重視していない企業では42%にとどまった。また、グローバル展開においてもより大きな成果を上げ(66%対42%)、新製品の立ち上げ実績も上回った(56%対33%)。さらに、変革への取り組みにおける成功率も高かった(成功率は52%対16%)。
リーダーは、パーパスを明確に示し、組織全体に浸透させることで、パーパスの力を活かすことができる。
2. パーパスを一致させる
リーダーや組織は、個人の仕事がより大きな全体像と一致していると実感できるようにすることでも、パーパスの恩恵を得ることができる。リーダーは、どのような業務であっても、その仕事がバリューチェーンにおいてどのように貢献し、組織が製品やサービスを提供する相手に対して最終的にどのような利益をもたらすかを、メンバー自身が理解できるようにしなければならない。
実際、ノースウェスタン大学の研究によると、パーパスを感じている人は、自分の仕事に意味を見出しやすいという。さらに、サセックス大学の研究では、リーダーがビジョンや人々へのコミットメント、強い価値観を示すことで、明確なパーパスを持って行動している場合、従業員の幸福度と生産性が向上することが示されている。
リーダーは、メンバーの仕事を組織全体のパーパスに一致させ、そこに意味を感じられるようにするとともに、自らも明確なパーパスを持って行動することで、その力を活かすことができる。
3. パーパスを通じてつながる
パーパスを活性化し、そのメリットを得るためのもう一つの重要な方法は、貢献のプロセスにおいて、人々が互いにつながり、連帯感を持てるようにすることだ。リーダーは、共通の目標や期待を強調し、協力し合うことがどのように全体像の達成につながるかを示すことで、パーパスを高めることができる。
学術誌『Frontiers in Psychology』に掲載された2240人を対象とした研究では、人生の意味をより強く感じている人ほど、孤独を感じにくいことが分かった。また、18歳から109歳までの13万5000人以上を対象とした『Journal of Affective Disorders』掲載の研究でも、人生に目的(パーパス)を持っている人は、孤独を感じる割合が低いことが明らかになった。これは世界全体で見られた傾向であり、このメカニズムが特定の地域特有のものではなく、文化を問わず人間に深く根ざしていることを示唆している。
これには2つの理由が考えられる。第一に、パーパスは共同体的な概念である傾向が強い。私たちは他者と協力し、より大きな目標につながる有意義な活動を行う。第二に、パーパスはコミュニティへの貢献実感に左右される。職場の同僚に価値を提供すること、友人や家族を助けること、あるいは地域社会でボランティア活動をすることなど、その形はさまざまだ。パーパスは根本的に、私たちの社会的連帯感と結びついている。
意味とパーパスの関係は、逆の方向でも機能する。コーネル大学の「コントリビューション・プロジェクト(貢献プロジェクト)」によると、ボランティア活動や寄付など、他者のためになる「向社会的(プロソーシャル)」な行動をとる人は、より高いウェルビーイング、パーパス、そして帰属意識を感じるという。
リーダーは、人々を互いにつなぎ、コミュニティを作り、帰属意識を醸成することで、パーパスを活かすことができる。
4. パーパスに変化を加える
リーダーや組織は、人々が成長し、学ぶ機会を提供し、彼らの将来の可能性を信じていることを示すことによっても、パーパスを活性化できる。私たちは新しい機会によって動機づけられ、自分の才能を発揮する挑戦を常に促されていると感じるとき、時間の経過とともにより強いパーパスを抱くようになる。これが、業績の向上や離職防止、さらにはイノベーションへとつながるのだ。
重要なのは、社会とのつながりを失ったり、孤独を感じたりすると、人生の満足度が低下しがちになる点だ。しかし、人生に意味を感じており、スキルを学び、それを活かしている人は、そうでない人に比べて満足度の低下が抑えられる。言い換えれば、『Journal of Positive Psychology』に掲載された研究が示すように、意味、学習、そしてスキルの発揮は、孤立や人生の満足度低下を防ぐ緩衝材となるのだ。
パーパスは身体的なウェルビーイングにも影響を及ぼし、仕事でベストを尽くす能力を左右する。『Psychosomatic Medicine』に掲載された研究によると、より強いパーパスを持つ人は長寿であり、心血管疾患のリスクが低いという。
リーダーは、人々が主体的に行動できるようになるよう促し、適応し、学び、成長する機会を提供することで、パーパスの力を活かすことができる。
5. パーパスに沿って行動する
自身のパーパスに向かって前進するような行動をとることも極めて重要だ。選択を下し、活動の優先順位を決める際のガイドラインとしてパーパスを活用しよう。パーパスを推進するためには大きな決断が必要になることもあるが、日々の小さな選択も同様に重要だ。
実際、「小さな勝利(スモール・ウィン)」は人々に極めて大きな影響を与える。ハーバード大学の研究者らが1万2000人を対象に、仕事で「最高だった日」と「最悪だった日」について調査したところ、何よりも重要だった変数は、進歩しているという実感、物事を前に進めているという感覚、そして小さくとも意味のある一歩を踏み出しているという実感だった。
また、Woohooによるグローバル調査によると、人々は「最高だった日」として、意味のある仕事をすること、目標を前進させること、そして変化をもたらすことを挙げた。さらに、自分の仕事に誇りを持ち、同僚と肯定的な経験を共有することも求めていた。
リーダーは、優先順位を明確にして賢明な選択を行い、メンバーが集中して前進できていると実感できるようにすることで、パーパスを活かすことができる。
パーパスを生み出し、ウェルビーイングと成果を高める
プレッシャーが強く、人とのつながりが希薄になりがちな現代において、パーパスは大きなメリットをもたらす。パーパスとは達成するのが難しい、仰々しい概念のように思えることもある。しかし、身近な目標を掲げ、価値ある何かに対して定期的に貢献し、自分だけの貢献のあり方を受け入れることでも、パーパスは得られるのだ。
リーダーは、シンプルで実践的な行動を通じてパーパスを活かし、個人だけでなく、チームや組織にとってもプラスとなる成果を生み出すことができる。



