海外から起業家や投資家が訪れると、「もっと長く滞在したい」「東京で事業を始めたい」と口をそろえて話します。世界中の人たちが東京を愛し、その成功を願っている。一方で、多くの企業が重要なポジションの採用に苦労し、また一方で、日本で働きたいと考えるグローバル人材も、その一歩を後押しする環境を必要としています。
日本には、エネルギー、産業技術、半導体、素材など、長い時間をかけて誠実にものづくりを続けてきた企業が数多くありますが、その価値は世界でまだ十分に知られていません。私は、そうした「日本の隠れたチャンピオン企業」を世界へ届ける手助けをしたいと思っています。
そんな思いも込めて、妻の百合名とともに『Type7: Guide to Tokyo』という本を制作しました。もともとは、初めて東京を訪れたとき、この街が水平方向、垂直方向に無限に広がっているように感じたことに衝撃を受け、山手線を一周しながら「東京から世界が学べること」「自分が好きなこと」を100項目ほど書き留めたメモが始まりです。それが一冊の本になり、小池都知事にもお渡しする機会をいただきました。
「急ぐな、休むな」
以前の私は、ビジネスではスピードを重視していました。しかし、日本での経験を通して、本当に大切なのは「深さ」だと考えるようになりました。日本には手っ取り早い成功方法はありません。長期的な取り組みにこそ本当の価値が宿ります。
私が最も好きな言葉は、セイコー創業者・服部金太郎氏の「急ぐな、休むな(Don’t hurry, don’t stop)」です。また、日本で約40年間ビジネスを続けてきた義父、ロバート・W・ローチ氏の、数十年単位で物事に向き合う姿勢にも深く影響を受けています。
これらの考え方は、人間関係にも通じています。見返りを求めずに良い人同士をつなぎ、一つひとつの関係を丁寧に築いていく。その積み重ねが、時間とともに複利のように大きな価値を生み出すのです。

この10年間で、私は日本から数え切れないほど多くのことを学びました。今度は、その経験を次世代の日本のリーダーたちへ返していきたい。それが、東京や日本への恩返しだと考えています。
例えば最近、皮膚マイクロバイオーム工学を起点に、消費財開発と皮膚疾患創薬に垂直統合で挑むシリコンバレー発バイオテック企業Taxaと、日本語をはじめとする東アジア言語に特化した音声AIを開発するKotoba Technologiesという2社の海外展開支援を始めました。彼らのような次世代の日本の起業家を、これから全力で応援していきます。
この先も東京に深く根を張って、多くの会社を育て、将来的にはリアルな「場」をつくりたいと思っています。宿泊できる部屋やイベントスペースがあり、例えば海外から日本へ着いたその日から、自然とコミュニティの一員になれるような場です。
そしていつか、「なぜ東京は世界有数のイノベーション都市になったのか」と語られるとき、その理由のひとつとしてTeamFirstの名前が挙がる存在になれたら、これ以上うれしいことはありません。


