そのためにはポジトロンが求める人材にならなければならない。考えて、作品をつくって、土井さんにお見せして、というのを繰り返して採用してもらいました。
当時のポジトロンは、僕を入れて3人という少数精鋭。アートディレクターとして、CDジャケットなどのグラフィックデザインから、アーティスト写真や映像のディレクション、空間づくりまで、本当にいろんな仕事を経験させてもらいました。
そして、入社5年目、24歳のときに独立しました。土井さんには「もっといろ」と言われましたが、平日はポジトロンでの仕事後、友達から個人的に頼まれた仕事を深夜までやっていて、時間がどんどん足りなくなってしまって。「まずは自分でやってみたいです」と言って、送り出してもらいました。

作品が次の仕事を生む“循環”
今もそうですが、まだ何者でもなかった20代の頃は特に、とにかくつくって見せまくるしかない、と思っていました。展覧会も本も映像もアート作品もたくさん見て、そのクオリティを上回れなければ憧れている仕事には辿り着けない、と。毎年、数カ月、海外に滞在するようにもしていました。
当時から、クライアントワークと自分の作品づくりを並行していました。独立して間もない頃から国内外で個展をやっていて、作品を見た人から仕事や次の展示の話がくるような循環がありました。
クライアントワークは、何を求められているかを徹底的に考えて、依頼に対して何倍にもして返すように心がけています。一方で自分のクリエイションは、自分自身が見てみたい・体験してみたいものをつくりたくて続けています。

最近はゲームをつくりました。僕自身は普段ゲームをしないんですが、ゲームプレイヤーの世界人口は膨大。そういう人たちにゲームを入口に自分の作品を体験してもらえたら、とか、自分でもやりたくなるゲームってなんだろう、と考えたのがきっかけです。
眺めていると、ゲームっていうより常に動き続けている平面作品のようなのですが、例えば、これを世界中に1000円くらいで販売できたら、その売り上げでまた作品がつくれる。ゲームにはそういう可能性があると思っています。


