マーケティング

2026.08.17 13:15

【カンヌライオンズ2026】AI時代に求められるエモーショナルな広告とは?

「Tiny Coffee Shops」byデロンギ

2つ目の事例は、最も古い部門でもあるフィルム部門のゴールドを獲得した、イケアの「Made for Life(人生のために作られた)」だ。全体で11本あるシリーズ広告である。

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「Made for Life」byイケア

このテレビCMは、家庭内の状況音をメインに始まる。バックには、わずかな旋律が流され、セリフは一切無い。カメラは、イケアのいち商品を価格付で捉え、ずっと右に動いて行く。住人の後ろ姿等も含んだ家庭内の状況を捉えた映像のほぼ中央に、かなり小さい文字で英語の文章が表示されて行く。右に動き終わったところでカメラは止まり、イケアの別の商品をやはり値段付で捉える。そこに「Made for Life(人生のために作られた)」の文字とイケアのロゴが映し出される。

最初に出てくるイケアの商品と、最後に出てくるイケアの商品。その2つを結ぶ形で英文は、重苦しいとも言えるリアルな人生の在り様を描いて行く。それは、広告表現にありがちな「明るくハッピーな日常生活」ではなく、不妊や子育ての大変さやパートナーを亡くした人の孤独など、負の部分をも包括した“リアルな日常”である。

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例えば、シリーズのうちの1本で最初に登場するイケアの商品は、「子供用ハイチェア 19ユーロ」。そこから始まる英文の大意は、「少し早く買い過ぎた子供用ハイチェア。でも夫婦にはそれを片付ける勇気がない。出しっ放しにしておくのはゲン担ぎ?でも、今度こそは幸運をつかみたい。次のトライのための治療用注射が、小物入れに入れてあるのだから」。その後小物入れが映し出され、「小物入れ4ユーロ」と表示されて終わる。

これは、相当に重いがリアルな日常だとも言える。AIが踏み込めないようなリアルさかもしれない。イケアは、そんなリアルな日常のそばにいつもあるのが、自社の家具だとメッセージしている。

AIは我々の日々を人生を、大きく便利に変えて行きつつある。しかしだからこそ、「エモーション」「手作り感」「リアルな日常」を取り入れたコミュニケーションが、人々の心を動かすのだろう。

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