オンラインで開催された「Work on Purpose(パーパスを持った働き方)サミット:AI時代の有意義なキャリア設計」には、3つの大陸から参加者が集まり、筆者が日々クライアントから受ける「世界の変化と同じスピードで適応できるキャリアを築くにはどうすればいいか?」という問いについて探求した。その端的な答えは、自分自身を深く知り、自身のパーパス(目的)を定義し、それをキャリア形成の羅針盤とすることだ。この急速な変化の時代においてリーダーに求められるのは、人々が職場でパーパスを見つけ、それに従って歩むのをサポートすることである。
初開催となったこのイベントは、コンパッショネート・リーダーズ・サークル(Compassionate Leaders Circle)のプレジデントであるサラ・フィーリーが司会を務め、AIと有意義な仕事の交差点に対してそれぞれ異なる視点を持つ3人の専門家が登壇した。ベストセラー作家で働き方の未来の専門家であるハムザ・カーン、作家で元マイクロソフトのグローバル・リーダーシップ開発責任者のアビジット・バドゥリ、そして20年におよぶ心理療法士のキャリアを経てバイヤー心理学者およびAIストラテジストに転身したケイティ・リードだ。
サミットの冒頭でサラが共有したデータは、この課題の重要性を物語っている。ベターアップ(BetterUp)とハーバード・ビジネス・レビュー(Harvard Business Review)による2023年の調査によると、回答者の90%がより有意義な仕事のためなら生涯賃金のほぼ4分の1を諦めてもよいと考えている。しかし、70%の人が仕事にパーパスを求めているにもかかわらず、それを実感できているのはわずか15%にすぎない。一方で、未来予測学者や労働統計局は、Z世代やアルファ世代が平均して18〜25回の転職を経験し、6〜9つの異なるキャリアの節目を迎えることになると予測しており、これは前世代の2倍以上の流動性である。
「キャリアはかつてないほど複雑で、そして人間らしいものになっています」とサラは聴衆に語りかけた。「『転職するかどうか』ではなく、それは現実に起きているのです。私たちを突き動かし、導いてくれるものは何でしょうか?」
オンラインのステージに登壇したそれぞれの専門家から得られた以下の5つの教訓は、自身のキャリアを管理し、他者に機会を提供する上での道標となるはずだ。
私たちは「再人間化」の時代にいる
ハムザ・カーンは、多くのメディアの見出しを飾る表現に異を唱えた。「この時代を『AIの時代』と呼ぼうとする動きがありますが、ツールを主役に据え、ひいてはそのツールの所有者や彼らの思惑を中心に据えるのは無責任だと個人的には感じています」と彼は言う。彼の捉え直しはこうだ。「私たちは、私が『再人間化の時代』と呼ぶべき時代に生きています。そして、私たちがAI時代と呼んでいるものは、その壮大なサーガの1つの章にすぎないのです」
カーンは根本的にはAI推進派であり、AIを退屈な作業を削ぎ落とし、大好きな仕事により多くの時間を割けるようにする触媒と見なしている。しかし、人間、特に現場の労働者や次世代をストーリーの中心に据え続けるべきだと彼は主張する。彼の言葉を借りれば、「知識とは物事を正しく行う方法を知ることであり、知恵とは正しい行いを知ることです」
教訓:ツールを中心にキャリアを組み立ててはならない。自身の人間性を中心に据えて組み立て、最も重要な仕事や人々のための時間を確保するためにツールを活用しよう。
キャリアは川であり、凍った氷の塊ではない
アビジット・バドゥリは、キャリアの土台がどのように逆転したかを説明した。産業革命時代は、代替可能性、資格、そして雇用主から与えられた肩書が報われる時代だった。新たな時代は、その逆を報いる。すなわち、判断力、人間関係、そしてナラティブ(語り)に基づいて築かれる独自性だ。「仕事は、定義された凍った塊から、より流動的なものへと移行しつつあります」と彼は説明する。「それは川のようなものです。障壁に突き当たったら、それを通り抜けるか、乗り越えるか、あるいは溶かして進むのです」
彼はまた、私たちをかけがえのない存在にしているものについて、今回のイベントで印象的な比喩を提示した。AIはすでに放射線科医よりも早くがんを検出できるが、「それが患者本人にとって何を意味するのかを伝え、家族に切り出す技術、その人間的なスキルは極めて貴重です」と指摘した。
教訓:資格集めをやめ、流動性を築き始めよう。自身の判断力、人間関係、そして趣味や情熱を含めたこれまでのストーリーのすべてを仕事に持ち込むのだ。その組み合わせこそが、いかなるアルゴリズムも複製できない唯一無二のものだからである。
専門知識がコモディティ化するとき、アイデンティティは進化しなければならない
ケイティ・リードは、AIに対する最初の反応について率直に語った。「最初に思ったのは、私の知り合いは全員おしまいだ、ということでした」。心理療法士として彼女は、自身や同僚たちが何十年もかけて築き上げてきた専門知識の多くを、「魔法の箱」が提示するのを目にした。しかし彼女の考えは進化し、今では「ナラティブ・アイデンティティ(物語的自己同一性)理論」、すなわち状況の変化に応じて自分自身が何者であるかを書き換え続ける能力に注目している。
「私たちが人間としてアイデンティティを置く主な対象の1つは、自身の専門分野です」と彼女は言う。「私たちは何度も何度も進化していかなければならないでしょう」。彼女はまた、AIにはできないことを身を以て示した。入念にプロンプトを指示したAIとともに、困難な決断について何日も悩んだ末、友人と共にした一度のランチがすべてを変えたのだ。「AIを使っている間は完全に頭の中に留まっていた問題が、友人と一緒に座った途端、ストンと胸に落ちてきたのです」
教訓:プロフェッショナルとしてのアイデンティティは緩やかに持ち、自身の価値観はしっかりと握りしめておこう。AIには頭に働きかけてもらい、心には人間に届いてもらおう。
パーパスは想像よりも小さく、そして大きい
サラ・フィーリーは、パーパスが世の中を揺るがすような何かだと誤解されがちであることを指摘した。「パーパスとは実際には、自分自身に本来備わっている動機、強み、情熱、そして価値観を呼び起こすことにすぎません」と彼女は語り、あるバス運転手のストーリーを紹介した。彼は毎日の運行ルートを、40人の子どもたちにとってコミュニティ、安全、つながり、そして笑いに満ちた体験へと変えた。彼は平凡な仕事に自分らしさを持ち込み、それを非凡なものにしたのだ。
彼女の締めくくりの言葉は、サミット全体の真髄を表現していた。「未来は、自分が何者であるかを知り、学び続け、好奇心を持ち、そして『おそらく自分は分かっていない』と言える勇気と弱さを持ち、進化を求め続ける人々のものです」
教訓:パーパスを持って働くために、世界全体を変える必要はない。自分自身を知り、好奇心を持ち続け、そしていま就いている仕事に自らの天職(コーリング)を持ち込めばよいのだ。
あなたには「ソウルワーク」を行う価値があり、主体性がある
筆者自身の貢献は、私たちが30年近く取り組んできた活動の核心にあるモデルに基づいている。私たちはパーパスを、個人の価値観に基づいた「貢献の宣言」と定義し、自身の情熱とパーパスを最大限に活かすことを「ソウルワーク(魂の仕事)」と呼んでいる。また、「ブリッジワーク(架け橋となる仕事)」は、ソウルワークを追求する間に生活を維持するための、尊い仕事のことだ。フルタイム雇用が縮小し、ギグワークや起業が増加すると予測される時代において、誰もがこの両面を見据えた計画を立てる必要がある。
しかし、筆者の最も深い信念はもっとシンプルだ。キャリアの始まりにいようと終わりにいようと、あなたには大好きな仕事をする価値がある。そして、すでにそれを手に入れているのであれば、誰か他の人がそれを見つけるのを手助けしてほしい。筆者の曽祖母と祖母は、お金も権力もない中で、シカゴで参政権のために戦った女性参政権運動家(サフラジェット)だった。もしAIの危険性を懸念しているのなら、自ら関与してほしい。私たちには主体性があり、仕事の未来はそれを利用する人々によって形作られるのだ。
教訓:自分の内なる天職の声を聞き取れるほどに心を静め、それに基づいて行動し、そして他の誰かが同じように行動できるように手助けしよう。



