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2026.08.21 11:00

BCG日本支社長が語る、AI時代に求められるコンサルタントの価値とは

生成AIの進化により、大きく変わりつつあるコンサルティングの仕事。ボストン コンサルティング グループ(BCG)は新たなグローバル戦略「BCG 2030」を掲げ、コンサルティングファームの役割を再定義する。BCG日本支社長の服部奨に、そのビジョンと求められる人材像について話を聞いた。


AI時代の企業変革を支える「BCG 2030」

「技術の進化は非常に速く、ソフトウェア開発におけるAI活用が大きく前進しました。BCGとテクノロジー企業とのパートナーシップも急速に広がりましたし、私たち自身の働き方も大きく変わっています。これまでなら半年に一度だった大きな変化が毎月起こるような、あらゆる変化が想定以上のスピードで進んだ年だったと感じています」

ボストン コンサルティング グループ(BCG)の服部奨は、日本支社長兼北東アジア総責任者に就任してからの1年をこう振り返る。

BCG社内でもAI活用が進み、情報収集や資料の統合といった作業は圧倒的に速くなっているという。産業界では、AIの普及によってコンサルタントの仕事が減るという声も聞かれる。AIは、果たしてコンサルティング業界にとって脅威なのか。服部は、「業界全体が一様に変わるのではなく、企業や領域によって変化の大きさや質が違ってくる」と見る。

「定型化・標準化が進みやすい業務領域では、AIによる自動化によって工数が減少する動きも出てきています。一方で、経営変革や企業変革の領域では、むしろ需要が拡大している。つまり、領域によって伸びる分野とそうでない分野が分かれはじめていますし、プレーヤーの間でも、成長する企業とそうでない企業の差が今後さらに広がっていくのではないかと考えています」

つまり、企業変革の領域では、AIは仕事を「奪う」のではなく、むしろ「拡張する」という見立てだ。

「情報収集などが高速化できるようになった結果、コンサルタントの時間は、見えてきた事実からどのような戦略を導き、どのようにクライアント組織を動かすかという、より本質的な部分に集中できるようになります」

一方、企業の間でもAI活用は近年着実に広がっている。BCGでは、そのAI活用を三つのフェーズで捉えている。

「第一段階は、生成AIを日々の業務へ導入し、生産性を高める『Deploy(導入)』。第二段階は、AIを前提に業務プロセスや組織そのものを再設計し、企業全体の競争力を高める『Reshape(再設計)』。そして第三段階が『Invent(創造)』で、AIを起点に新たな事業やビジネスモデルを創造するフェーズです。

第一段階でも一定の生産性向上は見込めますが、企業価値を大きく変えるようなインパクトが生まれるのは第二段階以降です。AIを導入するだけでは、企業は大きく変わりません。働き方や組織、人材、業務プロセスまで含めて変革してはじめて、数十億円、数百億円規模の価値が生まれます。そこが、私たちのようなコンサルティングファームの主戦場です」

こうした状況の変化を踏まえ、BCGが打ち出したのがグローバル戦略「BCG 2030」だ。その特徴は「Strategic Clarity(明確な戦略)」と「Applied AI(AIの実践的な活用)」の融合にある。

「私たちの強みは、企業の経営戦略を支えてきた経験と、最先端のテクノロジーを深く理解し実装できる専門性の両方を備えていることです。これらをバラバラに捉えるのではなく、つなげて考えることが極めて重要です。AIによってどこにインパクトを生み出すのかという戦略の方向性を明確にし、実際にAIを使うことで、組織や業務プロセス、人材までも変えながら大きな成果に変換していく。この両方を高いレベルで実現できるのが、BCGの価値だと思っています」

BCG 2030は日本市場でも体現できると、服部は自信を見せる。

「日本企業は新しいテクノロジーに対して、取り組むべき意味や妥当性を丁寧に見極めようとする傾向があります。そのため意思決定に時間がかかる側面もありますが、一度経営の同意が取れれば、その後の実行スピードは速く、結束力も強い。重要なのは『Strategic Clarity』と『Applied AI』が重なり合う部分であり、そこをしっかりご支援することは、海外も日本も変わりません」

AIが進化しても人材に求められる本質は変わらない

BCGの仕事において最も重視されるのは「インパクト」だ。企業の競争力向上や目に見える財務的成果の実現がゴールとなる。服部は、インパクトを創出するために欠かせない三つの要素を挙げる。

「第一に、業界特性や個社の事情という業界軸。第二に、調達や人事、サプライチェーン、プライシングといった経営機能軸。第三に、AI活用やデータ戦略、それを支えるITアーキテクチャというデジタル・テクノロジー軸。この3つへの深い理解があってはじめて、経営者に対して直言し、意思決定を後押しできると考えています。そして、これらをすべて備えるのがBCGなのです」

この三位一体により、企業の戦略を描き、変革を進めることが可能になる。若手人材はこうした環境に身を置くことで、BCGでしか得られない経験を手にできるという。

「まずは、業界をリードする民間企業や国の将来を左右する政策に携わる官公庁を相手に、大きな社会的・経済的インパクトを生む仕事に携われること。次に、結果を出すことにこだわる『インパクト思考』と2〜3年単位で役割と期待値が変わり続ける『グロースマインドセット(成長思考)』を体得できること。これはBCGに20年在籍するベテランであっても変わらない、組織全体に根づく文化です。最後に、クライアントの経営者や中核人材、それにBCGの先輩や後輩との出会いです。それはキャリアを通じて長く続く財産になります。AIによって業務フローが変わろうと、この三つの本質は変わりません」

さらに、若手コンサルタントにとっての刺激的な環境として、世界を代表するテクノロジー企業とのグローバルでのパートナーシップがある。BCGはAnthropicやGoogleなどと連携し、最先端技術をクライアントの変革へとつなげている。ただし、その関係は単なる協業ではない。

「例えば生成AIを導入するだけであれば、クライアント企業とテクノロジー企業だけでも進められるでしょう。しかし、AIを活用して組織や事業そのものを変革しようとすると、業務のことがわかる人材、AIモデル、データ、クラウド、ITアーキテクチャなどすべてをコーディネートする、私たちのような存在が不可欠です。その過程で、テック企業の強みを間近で体感しながら仕事ができることが醍醐味です」

AI時代、どのような人材がBCGで活躍するのだろうか。服部は、AIが進化しても本質は変わらないと強調する。

「求めるのは、世の中を変えたいという野心といろいろなものを貪欲に吸収していく好奇心。そして、人を動かすことに関心をもてる人です。私たちの仕事は、クライアントが共感して動いてくれなければインパクトにつながらないからです。また、AIが答えを出せる時代だからこそ、人間には批判的思考がより求められます」

日本を代表する人材輩出企業を目指す

BCGは、こうした高い志をもつ人材をプロフェッショナルへと育て上げるため、人材育成に対して並々ならぬ投資を行っている。同社の人材育成は、大きく三つの観点から成り立っているという。

「一つ目は、コンサルタントとしての基礎能力を高めることです。インサイトを見出す力、それをインパクトへと変えていく力、そして人間関係も含めた信頼を築いていく力。二つ目は、AIを活用してクライアントの変革を支えるための技術面の理解と、それを実装していく経験です。ここは、急ピッチで取り組まなければ私たち自身が市場から遅れてしまうので、認定プログラムをはじめ、トレーニングに相当な時間を投じています。そして三つ目は、『これからの社会や産業をどう描いていくのか』という視点を養うことです」

これらは現場のプロジェクトを通じて、上司や先輩が若手に伴走しながらプロフェッショナルへと育てていく文化によっても育まれる。最後に、BCGで将来働くかもしれない若手にこうメッセージを送る。

「BCGには、大きな社会的インパクトを生む仕事、成長するための土台、そして刺激的な出会いがあります。ぜひそれを存分に活かしてほしい。そして、いずれはその恩恵を受ける側にとどまらず、BCGの文化や価値をさらに高めていく側になってほしいです」

服部が目指しているのは、BCGを、日本を代表する人材輩出企業にすることだ。

「優秀な人材を数多く採用させてもらっている責任として、クライアントに貢献する人材を育てること。あるいはBCGを卒業した後も、それぞれの立場で社会を変えていく人材を送り出すこと。この2つの形で、人材の価値を社会に還元し続けたいと考えています」

ボストン コンサルティング グループ
https://www.bcg.com/ja-jp/


はっとり・すすむ◎ボストン コンサルティング グループ(BCG)日本支社長兼北東アジア総責任者、マネージング・ディレクター & シニア・パートナー。三井不動産を経てBCG入社。全社戦略、中期経営計画策定、グローバル戦略の策定・実行支援、トランスフォーメーション、プライシングなどのプロジェクトを数多く手がける。25年7月より現職。

Promoted by ボストン コンサルティング グループ | text by Fumihiko Ohashi | photographs by Shuji Goto | edited by Akio Takashiro