たとえば2000年、NBAのチーム評価額の平均は2億700万ドル(約330億円)で、前シーズンの推定売上高の平均の2.6倍だった(フォーブスのデータによる)。売上高が着実に伸びた結果、2013年には平均評価額が6億3400万ドル(約1010億円)まで跳ね上がったが、倍率は依然として売上高の4.2倍程度にとどまっていた。
状況が一変したのは、ロサンゼルスのもう一つのNBAチームであるクリッパーズが市場に衝撃を与えたときだ。その衝撃は、以後に起きたどの売却よりも大きかったと言っていい。人種差別的な発言が表面化した不祥事を受けてオーナーのドナルド・スターリングは球団売却を迫られ、2014年8月、スティーブ・バルマーが当時は法外と受け止められた20億ドル(約3190億円)を支払った。この上乗せによって、NBAのチーム評価額の平均は1年で74%上昇し、6億3400万ドルから11億ドル(約1750億円)になった。バルマーの投資はその後も順調で、クリッパーズは昨年10月時点で75億ドル(約1兆1900億円)と評価されている。
しかも、天井はまだ見えない。昨年のNBAチームの平均倍率は直前シーズンの売上高の12.9倍で、ウォルターがレイカーズに払った100億ドルは、2024〜25年シーズンの推定売上高5億5100万ドル(約878億円)の18倍にあたる。それでも、TWGグローバルのCEOを務める66歳のウォルターは、その投資から1年で25%の利益を得ることに成功した。リーグの通常の年間売上高成長率をはるかに上回る伸びであり、今回の取引にはさらに高い倍率がついたことを意味する。
チームの評価額は階段状に跳ね上がりながら伸びてきた。そのおかげで長くチームを保有してきたオーナーは大きな見返りを得てきたが、不動産のようにスポーツチームが短期で転売されるのは、今週まで前例のないことだった。
クシュナーとアイガーへの売却がリーグに承認されれば、ウォルターが経営権を握った期間は10カ月ということになる。2000年以降にNBAチームを買収したオーナーで、保有期間が5年を切った例はほかにない。過去15年間で複数回オーナーが変わったチームも、レイカーズだけである。


