加速が大半の老朽化したテクノロジーを陳腐化させる時代に、システムを新しくモダンな状態に保つにはどうすればよいのか。企業には、常に急速な変化を見据えることが求められている。クラウド時代からAI時代に至るまで、ビジネスの世界は、次々と押し寄せる大変革にどう対応するかに苦闘してきた。
「今日の急速に進化するビジネス環境において、レガシーアプリケーションは進歩の障壁となることが少なくない」と、IBMのNNNNは書いている。「時代遅れのテクノロジーやアーキテクチャを特徴とするこれらの既存システムは、変化するビジネスニーズに組織が対応する能力を阻害し、重大なセキュリティ上および運用上のリスクをもたらす可能性がある。今日のペースの速いビジネス業界において競争力を維持することは不可欠であり、そこでレガシーアプリケーションのモダナイゼーション(近代化)が必要となるのだ」
クラウドの時代には、古いオンプレミスのサーバーシステムとそのワークロードを、クラウドネイティブな設計に置き換えることが課題だった。いまはAIネイティブな設計を取り入れる段階にあり、それはまたしても、構築のあり方を根本から変えることを意味している。
同時に、公共部門と民間部門の双方で、驚くほどの遅れも生じてきた。つい最近まで、相当数のワークロードがCOBOLやFortranのような言語で書かれたコマンドライン端末上で動いていた。現在では、仮想マシン、Rustのようなオープンソースのプログラミング言語、Pythonを書くAIがあり、Linux上で動作する新たなツールもある。だが、レガシーモダナイゼーションは依然として広範な課題である。
ボストンからの続報
筆者は4月9日と10日にボストンで開催されたMIT(マサチューセッツ工科大学)のイベント「Imagination in Action」の共同ホストを務める機会に恵まれた。そこにはAI分野の著名な論者が驚くほど集まり、米国内外で起きている最新動向を伝えてくれた。なかでも「Old Systems, New Agents(古いシステム、新しいエージェント)」と題されたセッションは、企業の目標を推進するために自律的に動作するAIエージェントによって、古い業務システムを置き換えるという中核的な課題に焦点を当てたものだった。
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NPR(ナショナル・パブリック・ラジオ)のプロの記者兼編集者であるニーナ・グレゴリーが、マイクロソフトのサウンダー・スリニヴァサン、Workbenchのスンヤン・リー、HCLTechのアプールヴ・アイヤーに対し、こうした取り組みと、それが2026年に意味することについて聞いた。
遅れという現実に話を戻すと、スリニヴァサンは、現在のミッションクリティカルなアプリケーションの90%がメインフレーム上で稼働していると指摘した。とはいえ、それは1970年代の食器洗い機ほどの大きさの金属キャビネット型コンピューターで動いているという意味ではない。これらはより現代的なメインフレームだ。それでもなお、その機能を最新のハードウェア構成へ移行させることが急務となっている。
朗報もある。リーによれば、こうした既存システムの多くは、エージェント活用に適した状態にあるという。
「強調したいことの1つは、多くのパートナーと仕事をしてきた経験から、既存のITインフラはAIエージェントモデルと非常に相乗効果を生む場合が多いということだ。既存のデータベース、既存のマイクロサービス、こうした多くのレイヤーは、実効性のあるエージェントをつくるうえで実は基盤になっている」と同氏は述べた。
仕事を進める
パネリストたちは、チームが手元のツールを前提に追求すべき具体的な方法論についても見解を示した。
「既存製品のワークフローにおけるチェンジマネジメントを、どう支援するのか」とスリニヴァサンは問いかけた。「『成し遂げるべき仕事』に基づいた新製品をどう設計するのか。そもそも支援は必要なのか。あるいは、自分のアイデアを別のエージェントに伝えたいとき、生産性の未来像はどのようなものになるのか。よりエージェント主導の旅路へ、ユーザーをどう伴走させるのか」
同氏は、マイクロソフトでエージェントが担っている仕事の一部を説明した。
「エージェントによって、以前はチームでスケールさせることで実現していたことを、別のかたちで拡張できるようになった」と同氏は述べた。「調査を行うエージェントがあり、エンジニアリングを行うエージェントがある。自分のアイデアを伝えるためのファイルを作成するエージェントもある。レビューを行うエージェントもある」
スリニヴァサンはまた、AIがプレゼンテーションのためのリサーチをどのように支援しているかも説明した。
「それは単に成果物を作成するプロセスにとどまらず、私が必要とする場所から情報を引き出すことでもある」と同氏は述べた。「以前、自分で作成していたときには、それらがどこにあるのかを覚えておき、探しに行って引っ張ってくる必要があった。いまはシームレスだ。必要なリソースに対する権限さえあれば、レイテンシーという点ではほとんど無視できるほどのかたちで、すべてのリソースから情報を集められる」
同氏が「レイテンシー」と言ったときに指していたのは、人間によるリサーチの速度との比較であり、AIはそれよりはるかに速く、「瞬く間に」と表現できるほどだという意味に聞こえた。
アイヤーは、このようにAIを統合してレガシーシステムをモダナイズすることの哲学について、洞察を示した。
「私たちがベストプラクティスとして考えている最も重要な側面は、これからはAIの方から自分に歩み寄ってくる必要があるということだ」と同氏は述べた。「ユーザーがAIのところへ出向く必要はない。これは基本的に、現在の業務を行っている際、AIは非介入型のテクノロジーであるべきだということを意味している。適応しやすく、採用しやすく、生産性を高めるものでなければならない」
アイヤーはパワーポイント(PowerPoint)の例に戻った。
「パワーポイントを作成する場面を考えてみてほしい」と同氏は述べた。「AIはクリエイティブのパートナーであり、ナレッジのパートナーであり、デザインのパートナーにもなり得る。この3つが1つになる。つまり、特定の成果を出すうえで、自分の能力を10倍、20倍、100倍に増幅するということだ」
ハンズフリーのクライアントサーバー型ビジネス
議論の後半でグレゴリーは、SQLのような専門的な形式ではなく、自然言語でデータベースに問い合わせができる段階にすでに到達しているのかと尋ねた。
スリニヴァサンは、その技術はすでに存在していると示唆した。
「エクセル(Excel)には、エージェントモードと呼ばれる形で入ることができる」と同氏は述べた。「そして自然言語で、望む方法でデータを集め、チャートを作成し、レポートを作成し、要約を作成するよう依頼できる。『ピボットテーブルを作らなければならないのか、どう構成すればよいのか、なぜうまく動かないのか』といったことを本当に気にする必要はない。そうしたことを一切気にしなくてよい」
さらに同氏は、筆者がかなり重要だと考える関連した考えにも触れた。ブラウザ画面を行き来するのではなく、ユーザーは同じ画面にとどまり、人間を介在させたループ(Human-in-the-loop)のなかで、その人が探しているものをAIエージェントが取りに行くという考えである。ここで得られる生産性向上を想像するのは難しくない。
「たとえばレポートを書いていて、その情報をレポートに取り込みたいだけだったとする」とスリニヴァサンは述べた。「その場合、いまいる場所を離れ、エクセルに行って作業し、それを持ち帰るのではなく、いまはどこにいてもその場から実行できる。エージェントに『エクセルでこれを全部やってきて、戻ってきたら私がいまいる場所に差し込んでくれ』と言えばよい」
一方でアイヤーは、いくつかの不足点と、今後も進化が必要な領域を指摘した。
「その技術の多くも、かなり進化する必要がある」と同氏は述べた。
古いものを新しくする
「テクノロジーの状況は企業によって異なる」とアイヤーは続けた。「メインフレームを持つ企業もある。メインフレームではアセンブリ言語だけという場合もある。では、アセンブリ言語からどうやってデータを取り出すのか」
続いて同氏はリレーショナルデータベースについて語った。
「SQLの話をしているわけだ」と同氏は述べた。「範囲は広い。私たちがベストプラクティスの1つとして見ているのは、データをエンタープライズのコンテキストプレーン(企業の文脈を統合する層)として構築、作成することを考えることだ。つまり、その間にデータハブを置き、その上で多くの機能を動かしていくということだ」
データについて、アイヤーはいくつかの必須事項を指摘した。
「通常は、ベクトルDB上でデータベースをベクトル化することになる」と同氏は述べた。「今後は、使用しているデータそのものも取得していく必要がある。たとえばエクセルを使うなら、AIはあなたがエクセルで何をしているのかを読み取るべきであり、それが将来のユースケースのためのデータになる。したがって、その文脈ではコンテキスト設定とコンテキストグラフが非常に重要になる。これらはいずれも、私たちが関わっている重要なテクノロジーであり、多くの人々や企業がいま、データ統合を進めるために活用している」
リーはSQLについて、さらに考えを加えた。
「私が一緒に仕事をしてきた組織のほとんどでは、データベースの大半が何らかの形でSQLまたはNoSQLのデータベースだ。ただ、10件中9件はSQLデータベースだと言える。そしてご指摘の通り、このインフラは何十年も前から存在している。結果として、コーディングモデル、現代的なモデルはすべて、既存インフラと非常にうまく連携するよう特に訓練されている。したがって、そのデータを実際にエージェント型フレームワークに公開するうえでの大きな課題は、モデルにとって読み取れるかどうかではなく、ロールベースのアクセス制御(RBAC)のような問題のほうにある。エージェントが必要とするあらゆるデータに問い合わせる能力を持つようにしつつ、機密データにはアクセスしないようにするにはどうすればよいのか。エージェントが実際にデータベースへ書き込む能力を持つことを認めるのか。そうなると、はるかに慎重でなければならない」
その文脈でリーは、機密性の高い資産を隔離し、自動化をサンドボックス(仮想的な安全領域)内にとどめるため、エージェント向けに別個の参照システムを設ける必要があると訴えた。
「適切なセーフガードを確実に適用することについて、私たちは非常に慎重に取り組んできた」と同氏は述べた。
議論の残りの部分にも、Shopifyのプロトコルのようなユースケースに踏み込むなど、実行可能な情報が数多く含まれている。古い革袋に新しい酒を入れる現在のプロセスを垣間見る、目を開かされる議論だった。



