1on1面談の終わり、荷物をまとめているまさにそのとき、上司に呼び止められる。「正直に言って、君の仕事のどれくらいが、すでにAI(人工知能)で処理できると思う?」
あなたは不安そうに笑う。だが、上司は笑わない。
この会話はいま、あらゆるオフィスで交わされている。そして自分に正直になれば、自分自身の答えがあまり芳しくないことも、すでにわかっているはずだ。Resume Nowの「2025 AI Disruption Report」によると、労働者の89%がAIによる雇用の安定への影響を懸念している。Deutsche Bank Researchの調査では、18〜44歳の約4分の1が、2年以内にAIによって職を失うのではないかと深刻に不安を抱いていることがわかった。
不安を感じるのも無理はない。いま重要なのは、どう応じるかだ。幸い、この状況には賢い対処法がある。
1. 問いの背後にある問いに答える
上司の質問は、実のところAIそのものについてではない。あなたが周囲で起きている変化に注意を払っているかどうかを問うている。上司が知りたいのは、あなたが変化を明確に見据えられる人なのか、それとも自分の領域を守ろうと防御的になっている人なのかである。
心理学者のデビッド・シャーマンとジェフリー・コーエンは、人がアイデンティティへの脅威にどう反応するかを長年研究してきた。自己認識が攻撃されていると感じると、人はほぼ自動的に防御的になる。そして彼らの研究が示したのは、防御的な反応は、それを見ている人からの信頼性を高めるのではなく、むしろ低下させるということだ。
守りに入る代わりに、こう言ってみるとよい。「正直なところ、私が時間を使っている定型的な業務のかなりの部分はAIで対応できます。ただ、そのおかげで、実際に判断力が必要な部分に集中できるようになりました」。そのうえで具体例を1つ挙げれば、上司の懸念にかなり応えることができる。
2. 気まずい部分を大げさにせず認める
この会話には、AIをより性能の良いノートパソコンに替える程度の、ささやかなツールのアップグレードであるかのように装う展開もあり得る。だが上司は、それが事実ではないことを知っている。あなたが事実であるかのように振る舞えば、信用は一瞬で失われる。
研究者のブレネー・ブラウンは、誠実さと信頼について20年にわたり研究してきた。その中核的な発見はこうだ。不確実性について透明に語る人は、信頼性が高いと受け止められる。低くではなく。本当に不確実な状況で自信を演じても、信頼は築けない。むしろ逆効果になり得る。
より有効なのは、次のような言い方だ。「これまで私が担ってきた業務の一部は、2年後には違う姿になっていると思います。そのことはよく考えています」。これは、あなたが現実を否認していないことを示し、演技ではなく本物の対話への道を開く。念頭に置くべき線引きが1つある。あなたは共有された現実を認めているのであって、上司に不満をぶつけているのではない。その線は明確にしておくべきだ。
3. 自分の仕事を守るのをやめ、次の仕事を語り始める
心理学では、2つのマインドセットが区別される。成長を志向する「促進焦点」と、失うことを避ける「予防焦点」だ。この枠組みはコロンビア大学の研究者トリー・ヒギンズが提唱したもので、実務上の示唆は明快である。評価を伴う会話では、この2つの姿勢はまったく異なる印象を与える。一方は不安で反応的に見える。もう一方は、根底にある不確実性が同じでも、自信があるように見える。
洗練された5カ年計画は必要ない。具体的な文を1つか2つ示せば十分だ。「私は、AIツールとクライアントとの関係の双方を十分に理解し、どちらを信頼すべきかを判断できる、チームに不可欠な存在になろうとしています」。これは実在する役割であり、上司があなたに投資する理由にもなる。
上司が始めたその会話は、脅威ではない。入り口である。多くの人はそこでつまずく。防御的になり、曖昧に答え、感じてもいない自信を演じる。だが、あなたはそうする必要はない。現実を直視し、具体的で、前向きな姿勢で臨めば、その会話がどこへ向かうかに驚くかもしれない。



