米海軍は、唯一の前方展開空母として日本に配備し、東南アジア方面に展開中だった「ジョージ・ワシントン(CVN-73)」を中東に向かわせている。ジョージ・ワシントンは5月23日に母港の横須賀を出港しており、現在、米海軍で中東に振り向けることが可能な唯一の空母となっている。アラビア海に到着するには1週間ほどかかる見通しだ(編集注:米海軍協会によると、13日までにマラッカ海峡に入っている)。
ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙が最初に報じたところによると、ジョージ・ワシントンは中東に展開している米空母「エイブラハム・リンカーン(CVN-72)」と交代する見込み。米西海岸のサンディエゴを母港とするエイブラハム・リンカーンは、米国時間13日時点で展開期間が265日に及び、この間ほぼずっと洋上にある。
「地獄の航海」
ニミッツ級原子力空母の5番艦であるエイブラハム・リンカーンの現行任務は、これまでに2度延長されている。母港を離れている期間が長引いているばかりか、8カ月半にわたる展開期間中、港に寄ったのはわずか2回であり、いずれもごく短期間の寄港だった。
こうした長期の洋上活動のため、艦内環境は理想とはほど遠い状態になっているもようだ。先週には、乗組員たちはカビだらけのシャワー室やトイレの詰まり、さらに食料のほか、歯磨き粉やデオドラント、石けんといった生活必需品の不足にも悩まされているとの報道が相次いだ。
エイブラハム・リンカーンの艦内の状況については今週に入っても大きく報じられており、複数の乗組員が艦から海へ飛び降りようとしたという新たな報道もあった。うち1人は実際に海中へ飛び込んだが、すぐに救助されたという。
米議員からも長期展開に疑問の声
エイブラハム・リンカーンでの一連の問題は米議員の注目も集めており、議員らは米国防総省に対して問題に対処するよう求めている。
「基本的な物資の不足、水の汚染、配管設備の問題、メンタルヘルスの悪化、甲板上の安全をめぐる懸念、さらには郵便システムに支障をきたし、(家族などからの)小包が輸送中に行方不明になり、何カ月も届かないといった事態について、広く報じられております」
上院軍事委員会の委員であるリチャード・ブルーメンサール上院議員(民主党、コネチカット州選出)は、ピート・ヘグセス米国防長官とハン・カオ米海軍長官代行に宛てた書簡にこう記している。



