働き方

2026.08.14 08:04

従業員ゼロで年商4億ドル(約637億円)、AI企業「1人社長」の実像

Adobe Stock

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AI時代に入り、多くのことが変わった。ビジネスのあり方はもはや以前と同じではない。そして、人々にとって最も興味深く映るかもしれない現象の1つが、組織図の縮小によるビジネス組織のスリム化だ。言い換えれば、AI時代において、人間はしばしば余剰となるということだ。

現在、CEOから一般社員に至るまで、すべての人間がAIエージェントやボットに置き換わった「フルAI企業」の脅威を指摘する声もある。それは実現可能であり、監視の目もないまま、モニターとサーバーだけがうなりを上げてすべてをこなす、誰もいないオフィスの冷徹な光景を連想させる。しかし現在、ビジネスの観点、社会的な視点、そして米国の確定申告などの観点から、非常に興味深い、少し異なるモデルが存在する。

それが、1人ビジネス、「ユニコーン」、あるいは「ワンマンバンド(すべてを1人でこなす組織)」というコンセプトだ。

ここに、弟のサポートだけを受けながら、Medviという会社を立ち上げ、1人で経営しているマシュー・ギャラガーの例がある。

ニューヨーク・タイムズ(NYT)のエリン・グリフィス記者の報道によれば、彼女がこの単独運営の事業を「非常に効率的で、少し孤独」と評したこの会社は、約2万ドル(約319万円)と数カ月で稼働にこぎ着けたという。

「Medviは設立初月に300人の顧客を獲得した」とグリフィスは書いている。「2カ月目にはさらに1000人を獲得。Medviにとって事業開始後初の通年となった2025年、同社は4億100万ドル(約639億円)の売上高を記録した」

これらすべてが、人間の従業員なしで達成された。古い、おそらくすでに使われなくなった慣用句を借りるなら、ギャラガーと弟のエリオットの2人だけが、まるで「片腕の壁紙貼り職人」のように混戦の中を動き回っているのだ。

「ギャラガーは、2時間の会話の中で、シャワーを浴びているとき、寝ているとき、あるいは2人の子どもと過ごしているとき以外は、基本的にいつでも自宅からMedviの仕事をしていると語った」とグリフィスは伝えている。「彼は私生活を管理するために、自分の声のAIクローンまで作成し、それを使って電話をかけたり予定を調整したりすることで、仕事の時間を増やしている」

業務の役割分担は、エリオットがカスタマーサービスの問い合わせの多くを処理し、マシューが広告やオンラインインフラの調整を担当しているようだ。

シリアルアントレプレナー

ギャラガーは10代前半までに、オンラインで「ウィアード・アル・ヤンコビック」のファンページなどを作っていた。また、グリフィスが「パッケージ化された遠隔医療」と表現するCareValidateなどの企業を立ち上げた実績もある。

現在、彼はボットで構成された会社を管理し、これまでに7000万ドル(約112億円)から8000万ドル(約127億円)の収益を上げている。これに関して、ギャラガーの最も的を射た素晴らしい言葉を紹介しよう。

「つまり、クレイジーだよね?」と彼は言った。「クレイジーだよ」

従業員、請負業者、そしてボット

筆者にとって最も興味深い点の1つは、内国歳入庁(IRS)の観点から、ギャラガーの会社が税法上、厳密には個人事業主(sole proprietorship)として扱われるという点だ。

かつては、すべての業務を外注化し、大勢の「請負業者」に1099(独立請負人用の納税申告書)ワーカーとして支払うことで、従業員を雇う負担を回避する企業が立ち上げられた。その後、雇用主が福利厚生の提供、源泉徴収、給与支払いの管理などを避けるために、従業員を請負業者として誤って分類していたことから、IRSが判定基準を策定した。

いまや、そうしたことはすべて無用になり得る。AIが仕事をこなすなら、労災補償も、失業保険も、団体福利厚生も、椅子やヘッドセットさえも必要ない。

まったく別物なのだ。

ビジネスをはるかに効率的に構築できる。個人事業主は、確定申告の時期にスケジュールC(事業所得・損失の申告書)に記入し、経費控除のリストを提出するだけで、あとは気楽に過ごせるのだ。なお、これは税務上のアドバイスではない。筆者は会計士ではない。ただ、今日のビジネスのあり方における真の革命を物語っているにすぎない。

ウェブ構築

Medviに関する報道を読むと、AIが行っている業務の多くは、広告、顧客向けページ、モバイル対応などのコンテンツ作成に関連している。AI以前は、こうした業務の多くも外部の請負業者が行っていた。しかし今や、AIエージェントにとってこれらを行うことは非常に容易だ。なぜなら、それが彼らの得意分野だからである。AIは人間がすでに作成したものを見て、それを模倣するだけでよい。ただし、それをその企業独自のコンテンツに仕上げるのだ。

マシュー・ギャラガー自身による会社の説明の中で、彼の仕事の多くが「AIスロップ(AIが生成した質の低いコンテンツや無駄な情報)」、つまりターゲット設定が不適切であったり、品質が低かったりするコンテンツをフィルタリングすることであるのには理由がある。それこそが、AIの生産性を正しく活用するためのキュレーション作業なのだ。

これは非常に興味深いストーリーであり、自動化されたビジネスの未来を示す、いわば「炭鉱のカナリア」のようなものだと感じた。今回のケースでは、中に人間が1人(実際には2人)いるが、それ以外の部分は「機械の中のゴースト」がすべてこなしているのだから。

forbes.com 原文

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