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2026.08.14 16:30

意志力は「不要」、自制心がある人が無意識に実践している戦略

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ほとんどの人は、自制心とはその場その場で発揮されるものだと考えている。「手を出してはいけない」と決めていたものが欲しくなったとき、踏みとどまれるかどうか、という考え方だ。この見方に立てば、自制心のある人とは単に自分を抑える力が強い人ということになる。

そのイメージは研究者が実際に明らかにした事実とは一致しない。自己制御の特性が強い人たちは、自分の1日を「自身との闘いの連続」とは表現しない。むしろ、そもそも誘惑に遭遇する頻度が他の人より少ないと答える傾向がある。学術誌『Current Opinion in Psychology』に2024年に掲載されたレビューでは、この研究分野の注目が「意志力」から、困難な局面が訪れる前に人々が用いる「戦略」へと移りつつあることが指摘されている。

その根底にある習慣は、一見すると自制心による行動には見えないため、見過ごされやすい。

誘惑を未然に防ぐ

自制心が備わっている人は、実際には何のリスクもない早い段階で決断を下し、その後を「決断する」のではなく「実行する」段階として捉える。

人が自身の行動をどのように管理するかを研究する研究者たちは、このプロセスの最初の段階を「状況の選択」と「状況の修正」と呼んでいる。これは、自分が身を置く状況を選択し、その状況が自分に影響を及ぼす前に状況を調整することを意味する。仕事に取り掛かる前にスマートフォンを別の部屋に置いておく人は意志力を発揮したわけではない。40分後にそこに座っている自分が受ける誘惑の力をあらかじめ大幅に弱めているのだ。

行動の管理には多くの証拠に裏付けられた、より具体的な方法がある。「もっと本を読まなければ」といった漠然とした意図を持つのではなく、特定のきっかけと特定の行動を結びつけるのだ。たとえば「午後9時になってキッチンの片づけが終わっていたら、20分間読書する」など。

心理学者はこれを「実行意図」と呼ぶ。学術誌『European Review of Social Psychology』に2024年に掲載されたメタ分析では、このような「もし〜なら」という形で計画を立てる人は、まったく同じ目標を漠然と抱いている人よりも実行に移す頻度が高いことが明らかになった。このメタ分析はこの分野の研究を統合したものとしてはこれまでで最大規模のものの1つだ。

ここで効果を発揮しているのは特別に強い動機ではない。人が判断を誤りやすい瞬間から決断をあらかじめ切り離しているのだ。

「その瞬間」に依存しない理由

その瞬間に自制が効かなくなるのには心理学的にきちんとした理由がある。それは意志の弱さではない。

目の前にあるものは「今、どう感じるか」という点で具体的に捉えられるのに対し、遠くにあることは抽象的に捉えられるという考え方だ。たとえば、日曜日には、木曜日の運動は「健康」や「なりたい自分」につながることだと捉えられる。しかし木曜日の夕方になるとそれは「脚の疲れ」や「ジムまでの距離」という問題になる。自分の価値観が変わったわけではない。意思決定がどのように提示されたかが変わったのだ。

苦もなく自制できているように見える人は、往々にして自覚することなく、まだ物事を遠くから眺められるうちに決断することを身につけていることが多い。

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翻訳=溝口慈子

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