ビジネス

2015.11.27

アリババの香港メディア買収 背後には中国政府の影

My Life Graphic / shutterstock

中国のeコマース最大手アリババを率いるジャック・マーは、今度は新聞の買収を狙っている。ジャック・マーが狙うのは香港最大の英字新聞「サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)」。株式取得に向け、交渉中とされる。11月24日、ブルームバーグは関係者の話として、マーはSCMPと詰めの協議に入っており、間もなく契約締結が発表されるだろうと報じた。

昨年、アリババはIPOで史上最高額となる資金調達を行った。アリババの成功は偽造品販売によるところが小さくないという批判を受けながらも、彼は金融サービスやエンターテイメント、メディアといった様々なビジネスへの投資を次々に発表して来た。

SCMP株は、同社の業績が25%以上悪化したと報じられた後、2013年から取引停止となっている。過去には最も収益性のある日刊紙だったSCMPだが、ルパート・マードックのニューズ・コーポレーションが1993年、ロバート・クォック率いるケリー・グループに同社を売却して以来、SCMPはメディアとしての独立性が疑問視されるようになった。中国系マレーシア人の富豪であるクォックは、長年、政治的に親中派の姿勢を表明しており、中国本土で多岐にわたる分野に投資をし、巨大ビジネスの運営を行っている。

クォックはSCMPのふさわしい買い手を物色していると噂されてきた。中国政府と近い関係にあるマーは、うってつけの人物というわけだ。しかし、香港の「中国本土化」を懸念する読者にとっては、歓迎されるニュースではなさそうだ。

SCMPの現在の編集長で中国人民政治協商会議のメンバーであるWang Xiangweiは、編集長のポストを去り家族のいる北京に戻ると最近報じられた。副編集長のTammy Tamが1月から後任となる。Tamは亜洲電視(ATV)に在職中、江沢民元国家主席の死亡説報道に関与したことで有名だ。

編集 = Forbes JAPAN 編集部

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