労働時間を劇的に増やしたことで、利益が飛躍的に成長したのはいつが最後だろうか。おそらく、最初の100万ドル(約1億5900万円)を達成した創業初期ではないだろうか。直接手を動かす労働時間がそれを築き上げた。しかし、1日に投入できる時間には限界があり、やがて計算が合わなくなる時が来る。
私は10年以上にわたり、40以上の業界でベンチャー企業の規模拡大に携わってきた。そして、実際に10倍の成長を遂げた創業者は皆、同じことに気づいていた。それは、自分の時間の投入だけに頼るには、1日の時間は短すぎるということだ。飛躍的な成長を遂げるには、3つの要素が必要となる。成長を阻む唯一のボトルネックを見つけること、自分が眠っている間にも売れる顧客獲得システムを構築すること、そしてレバレッジ(人、テクノロジー、ポジショニング)を活用して、労働時間あたりの成果を倍増させることだ。
言うのは簡単だ。では、なぜこれを実現できる創業者はこれほど少ないのだろうか。
成長を阻害している要因を特定する
マーケティングにさらに1ドル(約1万未満円)を費やしたり、新たに人材を採用したりする前に、自分にこう問いかけてみてほしい。「これを解決すれば、ビジネスの他のすべての流れがスムーズになる、という唯一の要素は何か」
私がこれまで関わってきたすべてのビジネスにおいて、最大のダメージを与えているボトルネックが1つ存在していた。それがリード(見込み客)獲得であることもあったが、より多くの場合、それはもっと目立たないものだった。成約率(コンバージョン)、価格設定、フォローアップなどだ。誰もがファネルの最上部に目を奪われている間に、富が流出しているのは、目立たないファネルの中間部なのだ。
私には法学の訓練を通じて身についた習慣があり、それがビジネスで大きな利益をもたらしてくれた。それは「弁論を始める前に、ファイルを読み込む」ことだ。診断してから、実行する。適切な問題を見つけるためにより多くの時間を使うことで、誤った問題を解決するために無駄な資金を費やす必要ははるかに少なくなる。
自分が関与しなくても売れるビジネスを構築する
私が創業者によく投げかける質問がある。「もし明日から1カ月間の休みを取ったら、売上はどうなるか」というものだ。もしこの質問に不安を感じるなら、実はそれは良い兆候だ。その不安こそが、まさに今、仕組みを構築すべき場所を示しているからだ。
飛躍的な成長を遂げるには、顧客獲得をエンジンのように扱う必要がある。ポジショニング、リード獲得、育成(ナーチャリング)、そして成約(コンバージョン)は、すべて自律的に稼働する部品だ。現在、あなた自身が立ち会う必要があるすべての取引は、そのエンジンに組み込む候補となる。まずは1つ選び、その手順をマニュアル化し、システムや人に引き渡す。それが終わったら、次の取引に移行する。進めながら自分自身に問いかけてみてほしい。「自分はここで資産を築いているのか、それとも単に新たな取引を実行しているだけなのか」
ビジネスを拡大する過程におけるあなたの仕事は、「判断(意思決定)」である。戦略、人間関係、重大な決断。これらは複利的に効果を生み出す仕事であり、あなたにしかできない仕事だ。だからこそ、実際の数値に対して本当の責任者を割り当てるべきだ。パイプライン管理を誰かに任せる。成約率を誰かに任せる。それが社内の採用人材であれ、社外の非常勤役員(フラクショナル・エグゼクティブ)であれ、パートナーであれ、取るべき行動は同じだ。実行は引き渡し、判断は手元に残す。そして、コストに躊躇したときは、問いを逆転させてみるといい。その人材を雇う余裕があるかではなく、自分でやり続けることでどれだけのコストがかかっているかを問うのだ。自身の労働時間を公正に価格評価すれば、答えは通常、極めて迅速かつ明確に導き出される。
ポジショニングを見直す
これは私が最も気に入っているレバー(梃子)だが、ほとんどの創業者はこれを利用したことがない。もし価格を2倍にしたらどうなるだろうか。より大きな課題とより多くの予算を持つアッパーマーケットの顧客へと移行したらどうなるだろうか。顧客の維持期間が2倍になったらどうなるだろうか。これらの数値を計算してみてほしい。同じチーム、同じ労働時間のままでも、純粋にポジショニングを変えるだけで、売上を何倍にも増やすことができる。
私は、同じ業界で同じ業務量をこなしていながら、一方の企業がこうした決断を下したことで、売上に一桁もの差が生じた2つのビジネスを見てきた。専門家(スペシャリスト)はプレミアム料金を請求できる。だからこそ、ある特定の深刻な課題に対する明確な解決策になるのだ。成果を売る。自分の考えを公表し、最初の商談が始まる前に、信頼性によって顧客の開拓が完了している状態を作るのだ。
飛躍的な成長において、AIはどこに位置づけられるか
今日、AIと自動化を導入した少数精鋭のチームは、リードの選別、アプローチのパーソナライズ、執拗なフォローアップ、そしてデータのリアルタイム分析を行うことができる。かつては1つの部門が必要だったスピードが、今では1つのツール群(スタック)で実現できる。しかし、AIを適用する順序が重要だ。まず戦略を強固なものにし、その上にテクノロジーを重ね合わせる。AIは入力されたものを何であれ増幅するため、機能する基本原則をAIに与えなければならない。そうすれば、AIはこの10年間で生み出された中で、成長への最も強力な「裏ワザ(チートコード)」に近い存在となるだろう。
今週、チームに問いかける価値のある質問がある。「判断力をほとんど必要としないのに、最も多くの時間を浪費している3つの業務は何か」というものだ。それらが、最初に自動化すべき候補となる。
今日から変えるべき3つのこと
私が携わってきた数々の業界において、10倍の成長を達成した創業者たちは、日々の活動においてシンプルなルールを持っていた。今すぐ取り入れられる3つの戦略を紹介する。
• 迅速に決定する。 すべての重要な決定に期限と責任者を設定し、手元にある情報に基づいて行動する。何カ月も堂々巡りをしている問題はないだろうか。今週中に期日を設定しよう。
• 時間を買い戻す。 他人が担うことのできる業務に費やされている時間はすべて、戦略や人間関係の構築に再投資する。カレンダーを開き、先月の労働時間のうち、本当にあなたが必要だった時間がどれだけあったかを考えてみてほしい。
• 仕組み(マシン)を構築する。 ビジネスの「中」で働くことは、あなたを忙しくさせる。ビジネスの「仕組みづくり」に取り組むことは、あなたを成長させる。ビジネスを構築する仕組みを築くことこそが、飛躍的な成長の源泉だ。
大規模な成長への旅を始めるために必要なものは、すでにすべて揃っている。特定すべき1つのボトルネック。システム化すべき1つの業務フロー。大きな変化をもたらすために引くべき1つのレバー。あなたがエンジン(動力源)から設計士へと移行する日こそが、10倍の成長が夢物語から単なる計算へと変わる日なのだ。



