経営トップは人工知能(AI)を本格的に受け入れ、現場社員もAIに熱意を示している。それ自体は好ましいことだ。しかし、中間層の管理職はAIの旋風のただ中で、文字どおり板挟みになっているように見える。そしてこの状況は、AIの取り組みが本格的に始まる前から頓挫する要因になりかねない。
これは、インフォシスが発表したばかりの、世界各地の組織で働く2603人を対象にした調査から浮かび上がった結論である。同調査で、AIを基盤とする変革に積極的に関与している中間管理職は22%にとどまった。これに対し、上級幹部は49%、若手社員は25%だった。中間管理職の5人に1人は、自社に対して自身のAI利用の詳細を共有することにさえ消極的で、利用を過小または過大に申告している。
「中間管理職は、AI利用を過小に申告する傾向が最も強く、上級リーダーの2倍以上に上る」と、報告書の共著者であるインフォシスのサマン・マスードとプリヤンカ・ハルディプールは指摘する。「AI利用を過小申告している人の半数超は、そうする理由として、自分がスキルや能力で劣ると見なされるためだと答えている」
あらゆる階層の関与なしに、十分に機能するAIの取り組みは実現できない、と識者は指摘する。
GlowforgeのCEOでウォートン・リサーチ・フェローのダン・シャピロは、今日のAIに関する標準的な取り組みを大きく超える「200%オプション」を提唱している。これは、すべての管理職と従業員を「AIスーパーヒーロー」として育成し、2倍の水準の業務とイノベーションを実現できるようにすることを意味する。
AI導入に伴って人員を削減するのが一般的な定石だが、管理職と従業員のAI活用機会を重視することは、「コストを半減させるのではなく、成果を2倍にすることを意味する」とシャピロはいう。「製品ラインを拡大し、競合を圧倒し、品質を高め、顧客満足度を向上させ、市場シェアを獲得するのだ」
中間管理職は、この200%の一翼を担う必要がある。だが、インフォシスの調査によると、彼らは取り残されている。中間管理職のほぼ5人に1人に当たる19%は、AIがうまくいかなかった場合に責任を負わされることを懸念している。これは、同じように感じている上級幹部の割合の2倍である。AIをどのように使うかを選ぶ自由があると答えた中間管理職は13%にとどまり、上級幹部の22%を下回った。さらに、AIの実験を常に奨励されていると答えた中間管理職も13%にすぎず、上級リーダーの21%を下回っている。
加えて、AI利用に対して実際にインセンティブを受けている中間管理職はわずか9%だった。AIでの成果について同僚から評価を受けている人も25%にとどまり、幹部や若手社員の40%を下回った。
「中間管理職は、組織をより機敏にする助けとなり得る。失敗から学んだ教訓を活かし、運営モデルを迅速に転換して新たな機会をつかむことができるからだ」と、インフォシスのマスードとハルディプールは述べている。
テクノロジーは大きな平準化要因になり得る。「しかし、平準化しないものがある。それは人材だ。彼らの判断力、審美眼、優れた答えともっともらしい答えを見分ける能力、そして1回の会話で築く信頼である」と、Curiouser AIの創業者兼CEOであるスティーブン・クラインは最近、LinkedInに投稿した。「人材を信じる企業は、AIがもたらす恩恵を人材に投じる。人を関与させ続け、ツールを道具として手渡し、判断力を生む実践を守る。初めて、人を重視する正攻法の戦略と、高いリターンを生む戦略が同じ戦略になったのだ」
インフォシスの調査は、こうした考え方との大きな隔たりを示している。AIを機能させるうえで不可欠な、現場に近い意思決定を担う管理職が、十分に報われていないのである。



