最近、私が受けた質問の1つに「何十年もの経験があり、人工知能(AI)によってその経験が意味をなさなくなったらどうなるのか」というものがあった。その答えは単純に適応力を高めることにあると考えるかもしれない。それはある意味、正しいが、おそらくこれまで経験したことのないほど急速に変化する世界に確実に対応するためには、適応力に好奇心を組み合わせる必要がある。
何年か前、私は複数の適応力の専門家にインタビューした。彼らが重視していたのは、将来複数のキャリアを経験し、新しいスキルを継続的に学ぶ必要が生じるかもしれない時代に備えることだった。それ以来、私はうまく適応できてもその行き着いた先で満足できない場合はどうなるのかと考えるようになった。新しいスキルを身につけ、別の職務に移り、業界を変え、キャリアチェンジに必要なことをすべてこなすことができても、行き詰まりを感じることはある。その理由は部分的には、往々にして自分にとって成功とは何かを見直さないままキャリアを変えることにあると考える。全く新しい未来に適応しながらも、何年も前につくり上げた期待を基準に自分を評価し続けているかもしれない。
適応力は強み、それでも行き詰まりを感じる
仕事の未来について語る際、適応力に非常に大きな注目がいくが、それにはもっともな理由がある。仕事が急速に変化する時代には、学び、調整し、対応する能力は強みになるからだ。だがうまく適応できたからといって「今、仕事に何を求めているのか」という、はるかに個人的な問いへの答えが自動的に得られるわけではない。
この問いはキャリアを転換した後にはとりわけ難しくなることがある。なぜなら、かつての成功の基準がそのままついてくる傾向があるからだ。かつての成功とは、昇進すること、より多くの部下を持つこと、特定の肩書きを得ること、その分野の専門家として認められることだったかもしれない。そうした目標はキャリアのある時点では極めて理にかなっていた。だが大きな変化を経た後も、たとえ成功の基準がもはや以前のような満足感をもたらさなくなっても、ほぼ無意識のうちにそれらを追い求め続けてしまうことがある。
見事なキャリアチェンジを成し遂げ、その変化によって自分が幸せにならなかったことに驚いている人々を私は目の当たりにしてきた。彼らは新しい仕事や会社、方向性が問題を解決してくれると思っていたのだ。実際にそうなる場合もある。だが時には、仕事に何を求めているかを十分に検討せずに単に働く場所を変えただけだったというケースもある。



