中国はレアアースで用いた手法を、銅産業にも持ち込もうとしているように見える。競合を市場から締め出し、供給の支配権を握るというやり方だ。
銅は先週、1ポンド(約454グラム)当たり6.80ドル(約1083円)という史上最高値をつけた。この記録更新は、供給が細り、中国が支配力を強めるなかで、さらに大きな価格上昇が始まる予兆かもしれない。
そして、この流れは、決定的に重要なレアアース産業で中国が市場を掌握したときの再現になりうる。
銅がレアアースと違うのは、中国以外の国も自前の鉱山を持っている点だ。だが、産業用途にも軍事用途にも幅広く使われるこの金属について、中国が握っているのは製錬(銅精鉱から粗銅を取り出す工程)と精錬(粗銅を純度の高い電気銅に仕上げる工程)である。
銅ラッシュ
この「銅ラッシュ」によって、世界で最も重要な産業用金属である銅は、投資家にとって金を上回る最も熱い鉱物資源となった。銅鉱山会社の株価も大きく値を上げている。
世界最大の銅生産企業であり、鉄鉱石の主要生産者でもあるBHPは、オーストラリア株式市場で過去12カ月に株価が55%上昇し、63.52豪ドルをつけた。
銅専業のサンドファイア・リソーシズは80%高の21.15豪ドル、米国の大手銅生産企業フリーポート・マクモランは70%高の70.51ドルとなっている。
銅を押し上げているのは、需要と供給という経済の基本的な2つの力の両方である。
需要を牽引しているのは、建設、配管、輸送といった従来の用途に加え、エンジン車よりも多くの銅を必要とする電気自動車(EV)、そして世界の現在の成長産業であるデータセンターで使われる電力ケーブルとコンピューターの需要急増だ。
一方の供給は、新規鉱山開発の少なさ、老朽鉱山の閉鎖、既存鉱山での銅品位の低下、そしてチリの大型地下鉱山エルテニエンテで起きた岩盤崩落事故のような操業停止によって、締め付けられている。
そこに拍車をかけているのが、銅の主導権をめぐる中国と米国の地政学的な争いと、在庫の取り崩しである。
とはいえ、銅で最も重要な動きは、中国が製錬・精錬の工程への支配を強めていることだ。この傾向に警鐘を鳴らしているのが、オーストラリア鉱物評議会の元最高経営責任者(CEO)で、経済協力開発機構(OECD)のオーストラリア政府代表部大使も務めたブレンダン・ピアソンである。



