マイクロンテクノロジー(MU)の株価はこの1年で708%上昇した。単純に説明すれば、AI分野に関わっているから、ということになる。だが、より正確に言えば、メモリーの価値が見直される原因となった供給不足は、株価が動き出す数カ月前に、同社がウエハー生産能力について公表した資料のなかで説明されていた。
HBMは同じビット数に標準DRAMの3倍のウエハーを使う
その最初の説明が表に出たのは2024年12月だ。経営陣はこのとき、製造上の計算を明らかにした。
一定量のビットをHBM3E(高帯域幅メモリーの最新規格。AIアクセラレーターが使う、広い帯域で大量のデータを高速にやり取りできるメモリー)として生産する場合、通常のDRAM(パソコンやサーバーの主記憶に使われる汎用メモリー)なら1回で済むウエハー投入(製造ラインに新たに流すシリコン基板)が、およそ3回必要になるという内容だ。
つまり、HBMとして売られるビットは、1ビットあたり標準DRAMおよそ3ビット分のウエハー生産能力を食っていたことになる。経営陣は同時に、HBMがすでにHBM以外の製品の供給を圧迫しているとも述べていた。
供給が需要に追いつかないと会社自身が語っていた
2025年3月には、この同じ話が予測の形に固まった。マイクロンは、2025年の自社の供給の伸びが、DRAMとNAND(電源を切ってもデータが消えないフラッシュメモリー)のどちらについても業界の需要の伸びを下回ると述べた。2025年のHBM生産分は、この時点ですでに完売していた。
さらにマイクロンは、規模の小さいほうの事業を意図的に縮小しており、2025会計年度末までにNANDのウエハー生産能力を構造的に10%超削減するとしていた。これらは需要の見通しではなく、自社の供給についての宣言である。つまり、一つの供給業者が、汎用品のほうは減産すると決めたと市場に告げたということだ。



