品薄が価格決定力に変わった四半期
この計算が損益計算書に効いてきたのは、2026会計年度第3四半期だった。DRAM価格が前四半期比で60%台前半の上昇を示したことで、売上高は415億ドル(約6兆6000億円)へ急増し、前年同期比346%増となった。マイクロンは2026会計年度第4四半期について、過去最高の500億ドル(約7兆9500億円)を、上下10億ドル(約1590億円)の幅で見込んでいる。
品薄はいまや契約にも織り込まれた。主要顧客との戦略的な契約が16件まとまり、これらの契約に基づく顧客からの預り金と関連する資金面での確約は、220億ドル(約3兆5000億円)と見積もられている。
メモリー事業がこうした採算性を保てることは、通常はない。急騰の直前にあたる2025会計年度第3四半期時点の直近12カ月ベースで見ると、純利益率は18.4%で、3年平均のマイナス1.3%を大きく上回っていた。3年平均でみれば赤字だった事業としては、明るい兆しだ。持続的な利益率とキャッシュ創出は、Trefisハイクオリティ・ポートフォリオが投資先を選ぶ際に重視する条件に含まれるが、メモリー業界はその両方で歴史的に苦戦してきた。
予見はできたが、規模までは読めなかった
こうした兆候は当時から手がかりになったのか、それとも今になってようやく見えるだけなのか。筋道そのものは理解できるものだった。これらの発表に注意を払っていた人なら、メモリーが品薄に向かっており、しかもマイクロン自身の供給計画がそれを和らげるどころか悪化させるとわかったはずだ。
わからなかったのは規模である。ウエハーの比率だけで株価が何倍にもなるわけではないし、2024年12月にも2025年3月にも、これほどの変動をうかがわせる材料は何も語られていなかった。
同じ期間のリターンを並べても、話は変わらない。S&P500種株価指数は23%、エヌビディア(NVDA)は25%にとどまる一方、ウエスタンデジタル(WDC)は490%だった。つまりこれは、AI相場が半導体メーカーを一律に押し上げたのではなく、メモリーの品薄が価格に反映され直したということである。今後も使えるのは、この個別の取引そのものではなく、やり方のほうだ。供給と業績見通しについて企業自身が語る言葉を、株価がそれを織り込む前に追いかける。業績見通しが改善している企業を絞り込むスクリーニングは、まさにそのためにある。


