市場調査は、企業が自社の課題を特定したり、新たなビジネスチャンスを見出したりすることで、競争優位性の確保に寄与する。しかし、信頼性が高く、実用的な結論を導き出せる質の高い市場調査を実施するには、多大な時間とコストを要する。最近の調査によると、今年、世界中の組織が市場調査に費やす金額は約970億ドル(約15.5兆円)に達し、2030年までには1160億ドル(約18.5兆円)を超えると予測されている。
こうした中、サンフランシスコに本拠を置くスタートアップ企業「エコーベイン(Echovane)」は、成果物の品質を損なうことなく、企業の支出を削減できると考えている。同社は8月10日、100万ドル(約1億6000万円)を調達したと発表した。同社は独自に開発したAIエージェントによって市場調査プロセスのあらゆる段階を代替し、顧客が必要とするビジネスインサイトを、より迅速かつ低コストで得られるよう支援している。
「質の高い市場調査が、単一のインタビューやアンケートだけで完結することは少ない」と、エコーベインのCEOであるスミティ・グプタは語る。彼女は昨年、CTOのヴィプル・ナイア、COOのヒマドリ・ロイと共に同社を設立した。「1つのプロジェクトには、定性調査や定量調査、ニッチな参加者要件、事前・事後のタスク、行動観察、縦断的研究、複数国にまたがる調査などが含まれる場合があり、その多くを非常に厳しい納期のもとで遂行しなければならない」。
グプタによると、近年は新たなツールやテクノロジーの登場によって、企業はこうした業務の多くを効率化できるようになった一方で、従業員自身がそれらのツールを習得しなければならないケースが多いという。これに対し、エコーベインは包括的なサービスを提供しており、顧客は調査したい内容を説明するだけでよい。同社のAIエージェントが全ての作業を担い、必要な答えを導き出す。同社はこれまでに5万件を超えるインタビューを実施して300万回に及ぶ質問を行い、5000件の行動観察調査を完了している。
3人の創業者は、かつてアマゾン、ストライプ、インドネシア版ウーバーのゴジェック、インドのフィンテック企業レイザーペイなどで、市場調査を活用する業務に携わっていた。ロイによれば、こうした実務経験がエコーベインの設立につながったという。「有用なインサイトをもたらす質の高い調査を行う上で、リサーチャーが直面する業務上の苦労を、我々は深く理解している」とロイは語る。
当初、創業チームは、人間のリサーチャーが担っているインタビュー業務に特化したAIソリューションの開発を目指していた。しかし、潜在顧客が求めているのは、調査対象者の選定から定量・定性データの分析まで、調査の全工程を支援するエンドツーエンドのソリューションであることに気付いたという。



