欧州

2026.08.13 07:00

迎撃ミサイル不足のウクライナ、欧米は支援強化を 米フォーブス編集主幹

ウクライナの首都キーウ上空で、ロシア軍の無人機(ドローン)が迎撃される様子。2026年5月24日撮影(Aleksandr Gusev/SOPA Images/LightRocket via Getty Images)

ウクライナの首都キーウ上空で、ロシア軍の無人機(ドローン)が迎撃される様子。2026年5月24日撮影(Aleksandr Gusev/SOPA Images/LightRocket via Getty Images)

ウクライナ軍はここ数カ月、目覚ましい成果を上げてきたが、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、同軍がミサイル迎撃能力を欠いているとして、侵略戦争に勝利できると信じている。米国をはじめとする北大西洋条約機構(NATO)加盟国はこの差し迫った状況を食い止めることができ、実際にそうしなければならない。

確かにウクライナは防空の危機に直面している。ロシア軍が発射したミサイルと無人機(ドローン)の数は先月、過去最多を記録した。中でも最も不穏なのは、同軍が198発もの弾道ミサイルや極超音速ミサイルを発射したことだ。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は今月初旬、今年に入って同国に供与された迎撃ミサイルの数は、昨年同時期のわずか3分の1にとどまっていると報告した。

この逼迫(ひっぱく)した状況は、ウクライナの防衛体制のあらゆる面に及んでいる。米国製「パトリオット」は弾道ミサイルを確実に阻止できる唯一の地対空ミサイルシステムだが、迎撃ミサイルの備蓄が底を突きつつある。ウクライナのF16戦闘機部隊は、約束されていた79機に対し、わずか39機しか保有しておらず、本来なら地上配備型システムが担うべき任務であるロシア軍の安価な無人機「シャヘド」の迎撃に飛行時間を費やすことを余儀なくされている。一方、ロシア側も対応を進めており、ジェットエンジンを搭載したシャヘドは現在、迎撃無人機の多くが追いつけないほどの速度で飛行している。

迎撃ミサイル不足に陥っているウクライナの弱点を突くために、ロシアは弾道ミサイルと巡航ミサイルの製造を急速に進めている。ロシアには2つの大きな目標がある。1つは、ウクライナへの攻撃を強化し、同国の弾道ミサイル製造能力を弱体化させること。もう1つは、同国のエネルギー施設を標的にし、冬季の暖房と電力供給を遮断することだ。プーチン大統領は、こうした大規模な生活基盤の破壊によってウクライナの戦意を喪失させ、ロシアへの降伏を促すことができると考えている。病院、鉄道、学校、商店といった民間施設も標的となっている。

ウクライナ国防省は具体的な要求を提示している。パトリオット10基の追加供与、パトリオットなどで使用するミサイルの供給、無人機製造のための60億ドル(約9600億円)の資金提供だ。これには、ロシア軍のシャヘドに対抗するために特別に設計された安価な迎撃用無人機の製造も含まれる。

ドナルド・トランプ米大統領は先月8日、ゼレンスキー大統領とトルコの首都アンカラで会談した際、パトリオットで使用する迎撃用ミサイルの製造に必要なライセンスをウクライナに付与すると表明した。しかしその後、発言を撤回した。トランプ大統領は当初の約束を守り、ウクライナが外国からの供給に全面的に依存するのではなく、国内で迎撃ミサイルを製造できるようにすべきだ。

迫りくる冬の空爆に備えるため、米政府は直ちに50機以上のF16戦闘機をウクライナに派遣すべきだ。それは難しくないはずだ。米軍は800機以上保有している。NATOも30機以上を派遣すべきだ。これに加え、ベルギー、デンマーク、オランダ、ノルウェー、ドイツといった欧州諸国は、保有する他のミサイルシステムの一部をウクライナに移管すべきだ。欧州はまた、ウクライナが要求している700億ドル(約11兆円)の資金も提供すべきだ。協調的で予測可能な資金提供は、兵器と同様に重要だ。ウクライナ政府は、予測不可能な納期は物資不足と同じくらい困ると繰り返し訴えている。

迎撃ミサイルの枯渇とロシア軍の攻撃の激化はこの冬、ウクライナ国民に大きな負担をかけるだろう。今こそ効果的な対策が必要だ。米国の孤立主義者やプーチン支持派が理解していないのは、ウクライナの防衛こそが、究極的には米国の防衛にもなるということだ。

forbes.com 原文) 

翻訳・編集=安藤清香

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