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2015.11.26

共和党の大統領候補者が望み通りに税法を3ページに出来たとしても、その結果はお気に召さないだろう

larry1235 / Shutterstock

共和党の大統領候補者は、税法を大幅に削減したいと言っている。それはあまりに複雑で、特定の利益集団を助けるための規定で溢れている。しかしながら、法律を数ページに削減することは、財務省、そして何より内国歳入庁(IRS)に大幅な権限を与えることになるだけだ。そして、それはこれらの候補者が望むことではないだろう。

大統領に立候補している カーリー・フィオリーナは、70,000 ページある税法を3ページにしたいと考えている。彼女は「税法を改革する必要があります」と、先日の共和党討論会で述べた。

別の候補者のテッド・クルーズ上院議員(共和党テキサス州選出)は、同じ事を少し違う言い方をしている。彼によれば、「内国歳入庁規則は聖書より字数が多いが、内容は遠く及ばない。」

クルーズは、まだ支持率3番目の候補者にとどまっているが、ワシントン・ポスト紙のミッシェル・イ・ヒー・リーによれば、ルイジアナ州のボビー・ジンダル知事は、同じセリフを2005年に使っている。
聖書の言葉が、内国歳入庁規則の文言と同じくらい「良い」かどうかは、ひとまず置いておくことにしよう。 それを議論するつもりはない。そして、クルーズ、フィオリーナ、ジンダルの指摘している大きな問題は正しいとしよう。税法は、あまりに複雑である。
しかしながら、税法を3ページにすることは可能だろうか。もし可能だとして、何が起こるだろうか。

まず、幾つかの言葉の定義を明らかにしよう。友人の弁護士が税法と言う時には、法律それ自身を指しているのであり、法律に付随する規則、書面回答、立法経緯、判例は含まれない。2014年のTax Notesの記事の中で、合同税務委員会の法律顧問であるアンドリュー・L・グロスマンは、実際の税法は3,000ページに満たず、CCH Standard Federal Tax Reporterに記載の70,000ページではないと書いている。

フィオリーナは、3,000ページでも多すぎるというだろう。そして、それは3ページに出来る。その証拠として、彼女は、フラット・タックスの提唱者であるボブ・ホールとアルビン・ラブシュカが何年も前に起案した案を示している。彼らの案が、1980年代初頭に最初に出された時には、個人(多額の個人的非課税の後)と全ての企業に課される19パーセントの消費課税であったが、全ての税制上の優遇措置を廃止するものだった。

彼らの税は、確かにシンプルだ。しかしながら、シンプルなのは、個人に対する控除がなく、 企業についても殆どないからである。有権者は、読んだこともない3ページの税法のために、住宅ローン金利、慈善寄付、州および自治体の税などに対する控除の廃止を受け入れるだろうか。とても、そうは思えない。
そして、今日の法律の多くの部分は、企業課税を扱っているのであり、個人課税ではない。そして、企業は、とても複雑なものだ。
一つの例を挙げてみよう。

ホール‐ラブシュカ法は、以下のようになっている。
第105条 企業の課税所得の定義
企業の課税所得は、企業の受取から、企業の購入額を差し引き、従業員への報酬を差し引き、設備・構造物・土地の費用を差し引いたものである。

別の例。
第103条 企業の購入額の定義
(a)一般。企業の購入費用は、事業目的のために必要な物品、サービス、原材料の購入の実際の費用。

十分に分かりやすいと思われる。しかしながら、CEOであったフィオリーナは、次のような質問にはお馴染みだろう。「実際の」の費用とは、どういう意味なのか。市場価格なのか。または、控除を最大化するために、関係当事者に支払われた、不自然に高い価格なのか。
その6文字の語をめぐって、企業と税務署職員との間で、対立が起こるのは想像に難くない。法律に定義されていないのであればそれは、必然的に規則、訴訟、その他の解釈に委ねられることになる。実際、企業と内国歳入庁は、まさにこの移転価格と呼ばれる問題で、何十年も争ってきた。
同様に、ホール‐ラブシュカ法は、次のように言っている。

第301条 非課税組織
企業課税から免除されるのは、(1)中央政府および地方政府と、その付属機関、(2)教育・宗教・慈善・文化・コミュニティーのサービスを提供する機関で、個人所有者や法人所有者へ利益を還元しないもの。

ワシントンにおいて、何が非課税組織に該当するかについて議論があることに、お気づきかもしれない。実際、下院の共和党議員の中には、非課税の政治的組織を選ぶ際の内国歳入庁の基準に強く反対であることから、内国歳入庁長官の罷免を求めているグループもある。しかしながら、明確な法律がなくなれば、内国歳入庁が、より多くの裁量を得ることになってしまう。
そして、意図しない恐ろしい結果が待っている。

もし法律が、「実際の費用」や「非課税組織」が何を意味しているのかを定義しないと、それは、必然的に規制当局や裁判所の判断に委ねられることになる。短いけれども、曖昧な法律を内国歳入庁が執行し、法律に従う納税者が自らの義務を理解し、税を誤魔化そうとする人達を防ぐためには、何千ページもの規則が必要になる。
フィロリーナは、彼女の3ページの簡潔な法律を主張し続けるかもしれない。しかしながら、その代償として、巨大な新しい権限を規制当局と裁判官に与えることになる。フィオリーナや共和党支持者の多くが、何故それが良い考えだと思うのかは疑問だ。

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