BYDは海外で7割増、中国国内の販売は4割減
BYDは中国最大の自動車メーカーであり続けている。データが示すのは、その勢いがどこへ移ったかだ。2026年上半期における乗用車販売は15.9%減り、約178万台となった。
内訳を見ると、話はさらに鋭くなる。海外販売がおよそ70%伸びる一方で、中国国内への納車は約40%落ち込んだ。中国政府は2026年に入り、電気だけで走れる距離が短いPHEVを、車両購入税の優遇対象から外した。BYDの主力製品群を直撃する変更である。同時に、吉利と零跑汽車(リープモーター)は、BYDが販売台数を積み上げてきた中価格帯を攻めている。この会社は、自らを大きくした市場を除く、あらゆる場所で伸びている。
企業単位ではBYDが上回り、車種単位では逆転
テスラとの比較は、正確な形で示してこそ意味を持つ。企業として見れば、BYDは依然として中国でテスラの数倍を売っている。7月のNEV卸売台数は、BYDが41万9211台に対し、テスラ中国は9万3579台だった。
車種ごとに並べ替えると、順位はひっくり返る。モデルYを上回るBYD車は1車種もない。最も肉薄するBYD車ですら、モデルYの半分をやっと超える程度しか売れていない。
3月にはモデルYが3万9827台の登録を集め、中国市場全体で堂々と首位に立った。5月は2位で、元UPは9位だった。BYDは低価格車を大量に並べ、価格で戦う。テスラは2車種だけを持ち、ブランドで戦う。首位の座は毎月、下から突き上げられている。これまでのところ、その争いは2位のテスラに手を出していない。
テスラ上海工場は9万3579台、7月として過去最高
テスラが中国で生産する車の販売は、7月に前年同月比37.8%増えた。増加は9カ月連続である。上海工場が同月に出荷した台数は、輸出分を含めて9万3579台に達し、7月としては過去最高だった。縮んでいく市場にありながら9カ月続けて伸び、しかも首位車種の3倍近い価格を保っている。価格決定力というものを生のデータで見ると、こういう組み合わせになる。
中国の消費者はブランドに払い、テスラは値下げを迫られない
働いているのはブランドに対する認識だ。中国の消費者は、高級と呼べる地位を持たないブランドに割高な金を払わなくなった。そのため、フォルクスワーゲンやトヨタといった外国の老舗メーカーは順位表からほぼ姿を消した。テスラが握るのは、アップルに近い位置だ。国産の競合がより多くの機能をより安い価格で並べても、中国の買い手は上乗せして払う価値があるとしてテスラを選ぶ。この認識が、テスラを値下げ競争の外に置いている。吉利と零跑汽車は、互いの値下げに応じ続けなければならない。テスラの買い手は、そもそもその売り場に立っていなかった。
世界で最も競争が激しい自動車市場でも、高価格戦略はなお通用する。ただし条件は2つある。車が電動化されていること、そしてブランドが高級としての地位を備えていることだ。この2つを持たない外国ブランドは、周縁へ追いやられつつある。
フォルクスワーゲンとトヨタは、1つ目の条件で落ちる。BYDは1つ目を満たすが、それでも価格で押され、地歩を失いつつある。2つの条件をともに突破した外国ブランドは、この市場でテスラだけだ。


