この耐性があるからこそ、さらなる情報が得られるまで問題を真に未解決のままにしておくことができ、これはインキュベーションが機能する理由とも密接に関係している。学術誌『Scientific Reports』に2025年に掲載された研究では、創造的な作業の休憩中に思考を漂わせるマインド・ワンダリングが作業に戻った際のパフォーマンス向上を予測する要素であることが明らかになった。3週間棚上げした後に良くなった未完成のエッセイは放置されたから良くなったわけではない。そのエッセイを頭の中で考え続けていたからだ。
ただし、ここには留意すべき重要な点がある。これは能力であって、美徳ではない。そして明確な上限がある。一定数を超えると未完了の事項は生産的ではなくなり、邪魔なものになり始める。未完了の仕事が頭に残っていると、目の前のことに集中できなくなるのだ。
慢性的に未完了のことを抱えていることは隠れた才能ではなく、まぎれもなく足を引っ張る。この傾向が強みと見なせるのは最終的にきちんと完了する場合だけだ。
習慣2:細部は再現できないが要点は決して見失わない
この傾向は社会的に問題になりやすい。実際の文章や正確な数字、合意内容の具体的な言い回しを思い出すよう求められると答えに窮する。まるで話を聞いていなかったように見える。
記憶に関する研究では、そうした人はその内容を引用できる人よりも、往々にして熱心に耳を傾けていることが示唆されている。「ファジートレース理論」では2種類の記憶痕跡が並行して形成されると考える。「逐語的痕跡」は表面的な詳細を保持し、「要旨的痕跡」は根底にある意味を保持する。逐語的痕跡はすぐに薄れる。一方、要旨的痕跡ははるかに長く残る。学術誌『Nature Reviews Psychology』に2023年に掲載された研究では、数字を解釈したり、リスクを比較したりするときに人が実際に頼るのは要旨的表象だと結論づけている。正確な数値よりも長く残り、より広範に応用できるからだ。


