ポルシェと手を組み時速320キロの世界へ フォーミュラE参画のTDKが描く未来図

Photo by Edmund So/Eurasia Sport Images/Getty Images

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「フォーミュラE」と聞くと、単に「ああ、電気自動車で走るレースね」と考える方はいまだに多いだろう。そしてF1と比較し、いくばくか見下した視点を持っているに違いない。だが、その考え方を改める時期が来ている。

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そもそも、世界最速の市販用車はBYD仰望(ヤンワン)が開発したEVハイパーカー「U9 Xtreme」。公式最高速度496.22 km/hを樹立し、3000馬力を誇るモンスターカーである。加速の尺度となる0-100km/hでも、日本のアスパークが開発した「アウル(Owl)」が1.72秒という記録を打ち立てている。「F1の爆音が好きだ」「モーター音は退屈だ」と発言していると、前世紀の遺物扱いとなるだろう。

特別な市場・日本で3回目のフォーミュラE開催

2026年、東京・お台場に設けられた特設公道サーキットにおいて、国際自動車連盟(FIA)が主催する電気自動車(EV)レースの最高峰フォーミュラE世界選手権の開催は3度目となった。7月25日、26日と2戦が行われた「フォーミュラE 2026 TDK 東京 E-Prix」の開催に合わせ、24日にはビジネスカンファレンス「Change. Accelerated. Live.」が開かれた。

このオープニングの壇上で、フォーミュラE のジェフ・ドッズCEOはまず、シーズン終盤の緊張感を「ピットレーンやガレージ、ドライバーやチームを見てきたと思うが、今日はとても穏やかだったはずだ。しかし明日はそうはいかない」と表現し、この日の落ち着いたパドックの空気が翌日には一変すると語った。

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日本はフォーミュラEにとって特別な市場である。ドッズCEOは「日産、そしてヤマハ・ローラという2つのレーシングチームがあり、TDKが本日のイベントをスポンサードしてくれている。来季からはブリヂストンもタイヤサプライヤーとして参画する。パートナーシップの観点から見て、我々にとって非常に重要な市場であるだけでなく、イノベーションとテクノロジーの中心地でもある」と切り出した。東京都との間では「この美しい都市に、これから先も何年にもわたって戻ってくることができる契約」が結ばれたという。

ドッズCEOの言葉で印象深いのは、気候変動対応への危機感だった。

フォーミュラEが創設された12年前について「パリ協定の締結と、17のSDGsが制定された年と重なった。当時、気候変動とサステナビリティはあらゆる経営者のToDoリストの最上位にあった。ところが自身が3年半前に着任した頃から状況は変わり始め、科学的な改善があったわけでもないのに、悲しいことにサステナビリティも気候変動もゼロエミッションも、世界中の多くの経営者のリストから外れてしまった」と訴えた。

一方で、電気自動車の市場そのものは拡大を続けている。

ドッズCEOは「昨年、世界で2200万台のEVが販売され、2030年までには3500万台から4000万台が販売されると予測されている。我々の仕事はうまくいっている。人々を内燃機関からEVへと動かしているという意味では。同時にそれは、エネルギーや電力の需要増という別の複雑さの領域を開くことにもなる」と課題を提起した。

「カセットテープ」製造の過去 TDKが参画した理由

この文脈で東京E-Prixのタイトル・スポンサーTDKの存在感は際立つ。登壇したTDKの齋藤昇代表取締役社長執行役員CEO(以下、齋藤社長)は、開口一番「みなさん、TDKという会社をお聞きになって、おそらく相当数の皆様が『カセットテープ』というイメージをまだお持ちかもしれません。当社TDKはもうカセットテープは作っておりません!」と会場の笑いを誘いながら切り出した。

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文=松永裕司

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