TDKが抱える「カセットテープのイメージが強く企業認知はされているものの企業理解が伴っていない」という課題について尋ねると、同執行役員は「我々はポルシェチームと組むことによって、フォーミュラEから降りてきた最先端の技術が、今度は実際の市販車、公道を走るEVに搭載されるという流れが生まれます」と答えた。
さらに「『世界最先端のレース会場』と『実際の公道を走るEV』の両面で知名度を上げていくために、ポルシェは非常に良いパートナーであり、実際に技術提携も行っています。ポルシェの最新エンジニアと我々のエンジニアが直接話し合って、こういう部品を作ってほしいといったやり取りをしています」とも明かした。
企業イメージを一新する狙い
フォーミュラEから撤退した当初のパートナーだったマクラーレンとの比較については「マクラーレンはレース界ではトップスターですが、市販車は限られています。そういう意味ではポルシェの方が裾野が広いので、我々にとっては知名度とビジネスの両面でより有効かつ有利だ」と語った。
「市販のポルシェを見て『あれにはうちの部品が使われているんだ』と言えば、一発で分かりやすいですよね」という一言は、カセットテープのイメージを塗り替えるうえでの狙いを端的に物語っている。
このパートナーシップは、対外的なブランディングだけでなく、採用活動という社内的な課題にも活用されている。同執行役員はさらに「ポルシェとはエンジニア向けのイベントや、リクルートイベントでもご一緒させていただいています。社外だけでなく社内でも、ポルシェの方に来ていただいて講演してもらうなど、社内外の知名度向上やモチベーション向上に活用しています」と語る。
直近の取り組みとして「7月22日も、学生向けにパネルディスカッションを開催しました。私自身と、フォーミュラEでサステナビリティや広報を担当しているジュリア(ジュリア・パレ副社長)、そして早稲田大学ビジネススクールの入山章栄先生の3人で登壇しました。実際に学生さんを呼んで、フォーミュラEの世界とTDKがどうコラボしているのか、EVや自動運転などモビリティの世界が今後どう進化していくのかといった内容を解説・議論しました」と述べた。こうした言葉には、理系人材の獲得競争が激化するなかで、モータースポーツという分かりやすい接点を武器にしようとする意図がにじむ。


