続けて齋藤社長は「その代わり、カセットテープ、その磁気テープにも、フェライトという磁性材料を使っていたんですけども、素材のメーカーとして、その素材をどのような形で使うかというプロセス・テクノロジーを使って、今や電子部品、センサー、こういったものを作り、いわゆる完全BtoBの会社として、内側から様々な電子機器、社会に貢献をしております。このスマートフォンの中にも、たくさんの当社の電子部品やセンサー、バッテリーなどが使われています」と自社の変貌を説明した。
東京大会のタイトル・スポンサーを引き受けた理由については、「モビリティは当社にとって非常に重要なマーケットであり、以前から注力、注視していました。このモビリティというアプリケーションがどんどん電子化していき、また自動運転などが出てくると、さまざまなデータが非常に重要性を増してくる。そういったところに当社の電子部品やセンサーがしっかりと使われることで、貢献できる」と見定めたためと述べた。実際、「フォーミュラEのクルマの中にも、当社のセンサーや電子部品が使われている」という。
さらに、齋藤社長はフォーミュラEの理念を「サステナブルなモビリティ社会に向けてどんどん進化を続けていく、またその挑戦をしている」と表現し、これが「当社の長期ビジョンである『TDK Transformation』や、当社のコーポレートカルチャーの一丁目一番地である『ベンチャースピリット』とぴったり、パーフェクトマッチと考えたからです」と、単なるスポンサーではなくパートナーシップを結ぶことにしたと宣言した。
こうした取り組みについて、より詳細を同社の生嶋太郎執行役員に訊ねると、この参画がより経営戦略的な意図を持って設計されていることがうかがえた。
TDKのフォーミュラE参画理由について生嶋執行役員は「まず、EVが我々にとって非常に重要なマーケットであるということが挙げられます。従来のガソリンエンジン車に比べると、EVは搭載される電子部品の点数が数倍多くなります」と説明。
「現在まだ台数自体はエンジン車より少ないですが、いずれ過半数を超えてくると言われていますし、市場規模ははるかに大きくなります。そこで最先端の技術を磨くためにフォーミュラEに参画し、パートナーシップを結ぶことで自分たちの技術を磨き、将来の市場をしっかり取りにいきたい」と狙いを語った。
もう一つの理由については「EV化によるエネルギー効率の向上やCO2削減は待ったなしのテーマです。これからはガソリン車ではなくEVにしっかりコミットしていくことで、企業としてのサステナビリティへの貢献を果たしていこう」と考えていると付け加えた。
EVはガソリン車に比べて電子部品の搭載数が数倍に跳ね上がる。村田製作所や京セラなど、日本の巨大電子部品メーカー各社がこぞってモビリティ領域へシフトするなか、TDKはフォーミュラEのトップチームであるポルシェとの技術提携という実践的なアプローチで差異化を図ったのだ。


