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2026.08.25 11:00

進化し続ける金融、その先へ クレディセゾンが挑む次の成長戦略〈後編〉

創業75年を迎え、月賦百貨店からカード会社、そして総合金融へと時代に合わせて自らのあり方をピボットさせてきた歴史をもつクレディセゾン。 多角化・グローバル化・DXが進む同社の現状と未来について、同社取締役兼常務執行役員の足利駿二に話を聞いた。

後編となる本記事では、インドをはじめとする多様なローカルで急成長を遂げる「グローバル事業」や、同社が掲げる「金融包摂」、そして長年熱を注ぐ文化・スポーツ支援の裏側にある信念に迫る。

前編はこちら


「金融包摂」を推進するグローバル事業

――グローバル事業において、インドではレンディング債券残高3,850億円、26年度には利益100億円規模を目指すほどの急成長を見せています。この目覚ましい躍進はどのようにして実現できたのでしょう?

足利:大きな要因のひとつは、日本企業にありがちな「本国から日本人駐在員を大量に送り込んで現地をコントロールする」というマネジメントではなく、グループとして適切なガバナンスを維持しながらも、現地経営陣が主体的に意思決定できる体制を構築している点にあります。現在、約1,500人以上の従業員を擁するインドの現地法人には、日本人の駐在員は誰ひとりとして存在しません。

私たちはこれまでの海外展開の経験から、市場に最も近い現地経営陣を信頼し、その知見を生かすことが事業成長につながると考えています。そのため、Credit Saison India CEOであり当社の執行役員でもあるプリシャ・パラガシュを中心に、現地経営陣が主体となって日々の事業運営や意思決定を行っています。

――クレディセゾングループでは、「ファイナンシャル・インクルージョン(金融包摂)」を掲げて国内外で推進されています。その思想と取り組みについてお教えください。

足利:インドやブラジルといった国では、必要な金融サービスへアクセスしづらい中小零細企業や個人事業主、生活者の方々がいます。私たちは、そうしたお客様の実態と可能性を多面的にとらえ、適切なご支援をすることに取り組んでいます。

例えばインドでは、「アメリカ製フィットネス機器を輸入して事業を拡大したい」という若手起業家に対し、独自のデータ分析で事業実績を評価し、適切な融資を実行しました。

この思想の根底にあるのは、かつて日本のペイメント事業で先駆けて実装してきた当社の歴史そのものです。1980年代には、自立した女性でもカードをつくるのは極めて困難でした。その制約に対し、会長CEOの林野らが「挑戦する女性にこそ金融を開放すべきだ」と年会費無料で即日カードを発行し、特に主婦層への金融サービスの開放に取り組んだDNAが引き継がれているのです。国内の中小企業支援でも同様で、設立間もないベンチャーや赤字法人に対し、独自の審査で成長を支えてきました。

ほかにも、日本で働く外国人向けのサービスは着実に広がっています。当社では、家賃保証や携帯電話契約のワンストップ化、外国人コミュニティへの積極的な協賛など、現場責任者自らが深くコミットし、一つひとつの課題と向き合いながら事業を推進しています。

例えば来日した海外エンジニアのなかには、就労先や十分な収入があるにもかかわらず、クレジットカードの発行や家賃保証の審査を通過できないといったケースが少なくありません。こうした既存の金融インフラでは十分に応えきれていない課題に対し、私たちは、東京スター銀行とスクラムを組み、日本で暮らす外国人の方々に向けて、グローバルな視点を取り入れた金融ソリューションの提供を開始しています。

日本で暮らすことを選んでくださった方々が、安心して新たな生活をスタートできる環境を整えること。その積み重ねが、お客様との強固な信頼を育み、グローバル企業の持続的な成長を支える盤石な基盤になると考えています。

世界で最も「ありがとう」を集める金融会社を目指して

――貴社は古くから文化スポーツ事業への支援も根強く行っています。文化スポーツへの支援に込める信念とは?

足利:私たちが追い求めるのは、コンテンツの先にある「世界への挑戦」や「圧倒的な感動体験」へのコミットで、その代表的な例が25年以上のサッカー日本代表支援や、27回にわたる世界的テノール歌手ホセ・カレーラス氏の日本公演サポートです。私たちは、数字で測ることのできない「体験価値」への深い共感こそが、唯一無二の親近感と信頼を生む基盤になると考えています。

現場でも、先日のサッカー日本代表戦では全5拠点にて公開観戦を企画し、朝早くから250人を超える社員がユニフォーム姿で熱狂していました。また埼玉西武ライオンズのドーム戦でも、社員ら数百人を無料招待しスタンドをセゾンブルーに染めました。こうした面白さを共有し、感情をひとつに溶かすノリこそが私たちの強みでもあります。

今後もサッカー日本代表支援やなでしこジャパンの王座奪還への後押しを通じて、現場も顧客も一体となって腹の底から感動を分かち合える場をつくり出すことを続けていきます。

サッカー日本代表とのパートナーシップ施策の一環と して、2026年6月8日から7月31日まで運行した西武線ト レインラッピング。セゾンカラーの車両全体をスタジア ムのピッチに見立て、選手たちが車両を駆け抜ける姿を 表現した。
サッカー日本代表とのパートナーシップ施策の一環として、2026年6月8日から7月31日まで運行した西武線トレインラッピング。セゾンカラーの車両全体をスタジアムのピッチに見立て、選手たちが車両を駆け抜ける姿を表現した。
25年以上にわたりサッカー日本代表を応 援するクレディセゾン。世界が熱狂するサッカーの祭典 に合わせ、西武渋谷店の壁面に応援広告を掲出した。
25年以上にわたりサッカー日本代表を応援するクレディセゾン。世界が熱狂するサッカーの祭典 に合わせ、西武渋谷店の壁面に応援広告を掲出した。

――最後に、「GLOBAL NEO FINANCE COMPANY」というビジョンを通じて、貴社が目指す未来像をお教えください。

足利:会長CEOの林野は「未来の姿は、わからない。だからこそ、自分たちの手で未来のX(未知数)を新しくつくっていくんだ」という哲学を語っています。一度きりの人生を心豊かに、挑戦的に過ごす手段として金融がある以上、私たちも単なるお堅いインフラの枠に収まっているわけにはいきません。私たちが目指すゴールは、国境や国籍を超え、世界で最も「ありがとう」と言われる金融会社となることです。そのために、これからも常識を破壊し、変化を楽しみながら開拓し続けていきます。

インド発、グローバル成長への挑戦

プリシャ・パラガシュ

プリシャ・パラガシュ

Credit Saison India CEO/クレディセゾン執行役員

Credit Saison Indiaは、クレディセゾンが急成長するインド市場でゼロから事業を立ち上げ、成長させてきたことを示す象徴的な存在です。競合との差別化の鍵は、強固な資本基盤と、現地の意思決定を尊重しつつグループとしての適切なガバナンスを維持する「権限委譲とガバナンスの絶妙なバランス」にあります。

クレディセゾンが培ってきた長期的な投資姿勢とリスク管理に、インドのデジタルイノベーションや起業家精神、実行スピードを融合させながら、7年間で多角的な4事業を育成。現在ではインド国内23州、100以上の拠点を通じて、約24億米ドルの運用資産と約200万人のお客様を抱える規模に成長しています。

この成長は、親会社による約3億5,000万米ドルの資本投入に加え、みずほ銀行グループによる出資や、アジア開発銀行(ADB)をはじめとする国内外の金融機関からの借入など、多様な資金調達によって支えられています。

また、私たちの根底には「金融サービスへのアクセスを広げる」という共通のDNAがあります。かつて日本で女性にもいち早くクレジットカードを提供したように、インドでもデータやキャッシュフローを活用し、中小零細企業(MSME)への金融アクセスを広げています。

私がグループ初の外国人執行役員に就任したことは、一人ひとりの能力や実績を評価する当社の企業文化の表れだと受け止めています。今後はインドで培った知見をグループ全体へ還元し、ブラジルやメキシコなど他地域の成長にも貢献していきたいと考えています。そして、クレディセゾンが「GLOBAL NEO FINANCE COMPANY」へと進化するなかでも、起業家精神と、人を大切にする企業文化を守り続けたいと思います。

クレディセゾン
https://www.saisoncard.co.jp/ 
*クレディセゾンはサッカー日本代表を応援しています。


あしかが・しゅんじ◎クレディセゾン取締役兼常務執行役員、セゾン全社法人営業戦略、ブランディング戦略部 管掌、セゾンAMEX事業部長、セゾン・ベンチャーズ 代表取締役社長、Fintertech 取締役を兼務。1994年、ユーシーカード入社後、2011年にAMEX戦略グループ部長、18年に取締役などをへて現職。他社への多様な出向経験や数々の国内事業の構造改革、多角化戦略の最前線を歴任。

promoted by クレディセゾン / text by Michi Sugawara / photographs by Masahiro Miki / edited by Akio Takashiro