宇宙

2026.08.14 17:30

スピルバーグ新作『ディスクロージャー・デイ』は期待に沿う映画か、宇宙生物学者の見方

仏シャングリ・ラ ホテル パリで2026年6月1日に開催された映画『ディスクロージャー・デイ』の報道用写真撮影会に出席したスティーヴン・スピルバーグ監督(Photo by Pierre Mouton/Getty Images for Universal Pictures)

仏シャングリ・ラ ホテル パリで2026年6月1日に開催された映画『ディスクロージャー・デイ』の報道用写真撮影会に出席したスティーヴン・スピルバーグ監督(Photo by Pierre Mouton/Getty Images for Universal Pictures)

スティーヴン・スピルバーグ監督の超大作UFO映画『ディスクロージャー・デイ』を見るために、やっと映画館に足を運ぶことができ、私はワクワクしていた。さかのぼること1970年代、宇宙に夢中の10代少年だった頃に、スピルバーグ初のUFO映画『未知との遭遇』を見て大きな衝撃を受けたのだ。また、スピルバーグによるリメイク版『宇宙戦争』は、これまでに制作された最も恐ろしい宇宙人侵略映画の1つだ。

だが何より、私は地球外生命体の可能性を研究する天体物理学者だ。職業柄、UFO現象とそれを取り巻くまさに人類的なカルチャーに触れることも多い。ポップコーンのバケツを間に挟んで息子と並んで座り、『ディスクロージャー・デイ』が始まるのを待つ間は、再びあの衝撃を味わう気満々だった。

だが実際に起きたのは、それとは少し違うことだった(注意、以下ネタバレ含む)。

スピルバーグの最新映画はおもしろいと思ったのは間違いない。ストーリーはテンポよく展開し、追跡アクションには手に汗を握った。俳優陣の演技も見事で、中でもエミリー・ブラントが光っていた。上映時間が(約2時間半と)やや長かったかもしれないが、大部分は楽しむことができた。『ディスクロージャー・デイ』はチケット代に見合う価値があると断言できる。だが結局のところ、単なるエンタメの枠をはるかに超えたものを、私は期待していた。

それについて説明しよう。

UFOはいかにして(文化にまで)到達したか

『未知との遭遇』公開から今日までの半世紀近くで、UFOとエイリアン(地球外生命体)との想定される関連性に関しては大きな変化が起きている。当時、UFOは決して主流文化の1つにはなっていなかった。むしろ、アルミホイルの帽子をかぶった怪しげな陰謀論者の領域だった。今や状況は一変した。未確認航空現象(UAP)と改称されたUFOを、米政府が真面目に取り合おうとする時代になっている。議会ではこの問題をめぐる公聴会が何度も開かれた結果、政府が墜落した宇宙船と宇宙人パイロットの遺体を保管しているとする衝撃的な証言まで飛び出した。

だが、これほど議論や意見が交わされているにもかかわらず、UAPが地球外生命体と関連することを示す、科学的に検証可能な証拠はいまだに1つも見つかっていない。宇宙生物学を専門とし、科学コミュニケーションに携わる科学者としては、UFO・UAPを取り巻く現状に強いもどかしさを感じている。

私は、UAPに対してオープンで透明性の高い科学的調査を行うべきだと公に主張し続けている。その一方で、UAPと宇宙人との関連を示す証拠として使われるものは、科学において何らかの発見を主張するために必要とされる基本的な水準には到底達していない。検証できない個人の証言が添えられた、輪郭のぼやけた画像や動画が繰り返し提示されるばかりなのだ。個人の証言が証拠として最悪の部類に入る点は、ここでも繰り返し指摘しておきたい。

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翻訳=河原稔

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